第36話
「あー疲れた」
なんとかシーネを宥めさせて、寝かした夜。
僕は一人、帝城の上空を飛んでいた。
強大な吸血鬼の一柱として。
「さっさと壊滅させないとな」
僕はちょっとだけ特殊な結界魔法を発動させる。
これで帝城の周りにいる人間は中で何が起きているのかを確認することが出来ない。
「行くか」
僕は悪魔崇拝者たちによって占拠された帝城の方へと突撃する。
弾丸のように進んでいく僕の体は容易く帝城を破壊して、中へと入ることが出来る。
「おや……?あなたは?」
僕が帝城の壁をぶっ壊す形で入ったその場所は玉座の間。
そこには玉座に座る一人の男がいた。
「お前らが神と崇める者の同種だよ」
僕は服についた土を払い、吸血鬼特有の血の翼を顕現させた。
血の翼を作ることは別に……高等技術でもないし、翼なんぞ無くても自由に飛べるからこんなものなど作る必要もないのだが、中二病が多い吸血鬼連中はこの血の翼を展開してかっこよく登場することが多いので、この血の翼が吸血鬼を表すシンボルのようになってしまっているのだ。
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