第2話

「え」


「……なんか、少ししょぼくない?」


「なんであんなど田舎に行くんだ?」


「俺、あそこ田んぼとか、山とかしないって聞いたんだけど」


「え……私もっとすごいところかと……」


「なんか期待外れだな」


「それな」


「いやいや、本当はもっとすごいはずだから。この学年がおかしいんだよ」


「えー。最悪じゃん」


 ……クラスのみんなの意見がひどすぎる。あんまりだ。

 和の国出身の水の聖女、リリネがブチギレるよ?ござるござる!とか言って水で刀を作って振り回してくるぞ。結構強いぞ?

 まぁその気持ちは結構よくわかるが。

 僕も同じ気持ちだが。

 それでも和の国はそこそこいい国なのである。

 島国であるから故に、独自の文化の発展、政治体系などなど。この国とはガラッと違う異文化に驚くことになるだろうし、料理も美味しい。

 料理は日本料理だ。個人的には和の国の料理が一番美味しい。

 この国で刺し身なんてないし、新鮮だろう。


 まぁどんなにいいところを上げたとしてもこれまでの行き先よりも圧倒的に格が落ちるが。

 極東にポツンとある島国で、近年まで鎖国したのだ。正直な所栄えているとは言えないだろう。

 なんでそんなところに修学旅行を?

 本当に謎である。

 なんで修学旅行先を和の国にしたのか。

 別にこの国が財政難。というわけでもないのに。

 勇者並びに聖女たちがいるから危険な目に合わせられない。ということかな?

 一応勇者は教会の伝承として『大いなる災厄に対する唯一の切り札』というものが残されているからね。それを失うわけにはいかないのだろう……。

 別に今世界に大いなる厄災なんてないけど。

 アンデッドという身近な厄災ならあるけど。

 

「はいはい!」

 

 ざわめく生徒たちをなだめるように先生がパンパンと手を叩く。


「確かにあなたたちの不満をわかるわ」


 ……先生?


「確かに例年と比べれば型落ち感があるのは仕方ないでしょう」


 ……先生ッー!?

 

「ですが」


 お?先生?


「今、和の国は急成長を果たし国際的にも認められてきている国なの。アンデッドという強敵に一緒に立ち向かえる強大な大国として、ね。国が変わり、急成長している。そんな国はなかなかないわ。そんな国を見て、触れ、学ぶこと。それは他の行き先では決して学ぶことは出来ない大切なものであり、今を生きるあなた達しか学べないことなのよ。これはとっても幸運なことなのよ」


 おぉー!!!先生!

 僕は心の中で喝采をあげる。


「あなた達が和の国をどう思っているのかは知らないけど、変わりゆく国の民の熱気を舐めないことね」

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