第3話
「はい!」
マリア先生がぱちんと両手を叩く。
「じゃあ次は修学旅行で回るグループを決めるわよ」
行き先について話した後は、自由時間に和の国を回るグループを決める時間だ。
クラスがちょっとざわめき始める。
まぁざわめく気持ちはよく分かるけどね。修学旅行。旅行でいちばん大事なのは何処に行くかではなくて、誰と行くか。だからね。
『嫌いなやつと行く旅はつまらない』と言う感情を知っているからね。
……そういえば前世じゃ結局修学旅行行けなかったなぁー。ちょっとした憧れがあったんだが。
まさかその憧れをこの世界で叶えることにはなるとは思わなかった。
「男子二人女子二人のグループを作ってちょうだい」
マリア先生の言葉とともにクラスメートが動き出す。
「おい」
ガンクスが僕に話しかけてくる。
「一緒に組もう」
僕はガンクスの言葉に頷く。
「うん。もちろん。えっと女子は……」
「私達でいいわよね?」
僕とガンクスの二人に話しかけてきたのはニーナとパルちゃん。
「わ、私!みんなの荷物を持つので一緒のグループになってください!」
「もちろんだよ。荷物のことは任せるね」
「はいです!」
「あ、あぁ」
「よろしく頼むわね……」
「はいです!」
ふんす!とパルちゃんは意気込む。
それに対してガンクスとニーナはちょっと後ろめたそうにしている。
小さな女の子に自分たち全員の荷物をもたせることに抵抗があるのだろう。
だが、パルちゃんは収納魔法があるので別にそんな辛いわけでもないのだから、そんなふうに思う必要はないと思うんだけどね。
それにパルちゃんは人に頼られるのが大好きな子だ。
逆に任せないと、貧民でなんの取り柄もない自分なんか邪魔ですよね……っとネガティブシンキングになってしまうので、頼ったほうがいいのだ。それが正解だ。
パルちゃんは素直で明るくて可愛いけど、自己評価が低くどちらかと言うとメンヘラに近い女の子なのだ。
「ふわぁ」
僕はあくびを一つ。
「眠いんですか?夜ふかしはダメですよ?」
「ん?まぁね。夜ふかしはしていないんだけどね。ちょっと眠りが浅いんだ」
吸血鬼としてのステータスも肉体も束縛血界で封じている僕は人間よりなのだ。睡眠が嫌いで、あまり快適な睡眠が遅れていない僕はそこそこ眠くてだるい。
「大体決まったようね」
かなり早い段階でグループ分けは終了した。
うちのクラスは男女仲も良いからね。とんとん拍子で決まったことだろう。
僕達のクラスは無事にグループ決めすることに成功した。
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