第37話
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
ドワーフたちが大きな声を上げて吸血鬼へと突撃していく。
彼らが持っているのは槍。
空に浮かび上がっている吸血鬼を狙って槍を振るう。
「おせぇぞ!」
だがそんなもの吸血鬼には当たらない。
上へと飛び上がりあっさりと回避されてしまう。
「ラァ!」
「お?」
ドワーフたちの持っている槍。
それは特殊効果によって長く伸びた。それは伸縮自在の槍だったのだ。
そのため、空を飛んでいる吸血鬼にも当てることができた。
「ぐっ」
銀で出来た槍は確実に吸血鬼へとダメージを与える。
「確かに……面白いが……それだけだ」
貫かれ、吸血鬼から漏れた血が踊る。
「ぎゃァ!!!」
「うわッ!!!」
「ひぃあ……」
一瞬にしてドワーフの騎士たちが切り刻まれる。
血。
それは吸血鬼の思い、魂、力そのもの。
吸血鬼が操作する血は何の力がなくとも十分凶器足り得た。
「クソッ!!!」
「負けるなッ!!!」
「狙えッ!!!」
必死に抵抗するドワーフたちは果敢に吸血鬼へと挑み、幾度も槍を振るう。
地下の天井はあまり高くない。吸血鬼たちも自由自在に飛び回り、逃げることが出来ないためドワーフたちの攻撃にもちょくちょく被弾していた。
「『氷禍水龍』」
「『炎遁迦具土』」
「『土龍弾』」
魔法でも罅隙を筆頭として数多の魔法が吸血鬼にぶつけられている。
圧倒的大多数が吸血鬼を囲み、攻撃を仕掛ける。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」
しかし、それでも吸血鬼二人を追い詰めることは出来ない。
吸血鬼二人は余裕だと言わんばかりに笑い声を上げ、血を振り回して闇魔法を発動させていた。
受けた傷もすぐに回復し、魔法攻撃にも強い耐性を持っている吸血鬼。
空を自由自在に飛び回る圧倒的な力を持った吸血鬼。
吸血鬼は人間を殺すことにあまり意欲的でない。だからこそ人間は存続できている。
吸血鬼の強さは圧倒的で、人間がとても敵うような相手ではない。
吸血鬼は……エルダーにも至っていないただのヴァンパイアでも一国を容易く落とせるのだ。
ヴァンパイアはおろか、エルダーヴァンパイアにも100分の1の力で勝てるガンジスがおかしいのだ。
「クソッ」
すでにドワーフの騎士たちの死体が転がっている。
ドワーフたちの絶望的な戦いは未だ始まったばかりだった。
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