第4話

「おぉぉぉぉぉぉ!」

 

 トランペットの音とともに、遠くの方から王都の市民たちから歓声が上がるのが聞こえてくる。


「今日はね。終焉騎士団がここに来る日なんだよ」

 

 僕は罅隙に向かってそう話した。

 終焉騎士団。おそらくガンジスと並ぶ人類最強戦力。聖女や勇者ほどではないが、聖なる力を使うことが出来、高いステータスと技術力を持つ少数精鋭の騎士団。

 そして、何よりも恐ろしいのが彼らの持っている執念である。アンデッドを必ず殺すという確固たる信念。アンデッドへの強すぎる憎しみ。自らの死さえ厭わない決死の攻撃の前に、基本的なアンデッドは敗北する。マジであいつらの執念半端じゃない。

 本来ならば勇者と聖女しか使えないはずの聖なる力を少しながらも使えるということが謎すぎるし。チートだチート。反則です。


「終焉騎士ですか!私と水の聖女は終焉騎士の皆さんがここまで運んできてくれたんですよ」


「え?ほんと?」

 

 僕は罅隙の言葉に固まる。

 ……終焉騎士が?


「本当ですよ。私と水の聖女はたまたま和の国に訪れていた終焉騎士の人と一緒にこの国にやってきたんです。終焉騎士の人は本当に速くて、3日もしないでここまで来ることが出来たんです。本当は飛行船で来る予定で、もっと時間がかかることになっていたんですよ」

 

「へぇー」

 

 なるほどね。

 ……それにしても、何で終焉騎士が和の国なんかにいたんだ?

 レーテーを捕捉してのことだろうか?……たかが一人の吸血鬼のために終焉騎士が辺境にまで来るのか?……いや、執念の鬼である終焉騎士ならばあり得るか。


「終焉騎士ねぇ。一度だけ会ったことがあるけど、おっかない人だったわ。なんかこう……すっごい殺気立ってて」


「そうですか?私が会った終焉騎士の人はそんなことありませんでしたけど」


「私も!私が知っている終焉騎士さんもそんな事なかったですよ!優しい人でしたよ!」


「え?パルちゃんも会ったことあるの?」


「はいです!」

 

 僕の疑問にパルちゃんは元気良く答える。

 え?マジか。終焉騎士はあまり人前に出ない。アンデッドの生息圏にずっといるような連中なのに。貴族であるニーナならまだしも、パルちゃんまで会ったことあるのか。


「え?マジか。俺らの中の女子は全員あったことあるのか」


「あ、僕も会ったことあるからガンクス以外だね」


「え……俺だけかよ……。終焉騎士なんてそんなに会えるものじゃなくないか?」

 

 僕の言葉にガンクスが愕然とする。


「せっかくだし、終焉騎士でも見に行く?」


「そうしよ!」

 

 ふとした僕の提案に全員が頷いた。

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