第24話

 優雅な食事を終えた僕たちは街の中を歩いていた。


「っ!どれい、商売……」

 

 街を散策している中、ルトはとある方向へと視線を向け体を止めた。

 ルトの視線の先。

 そこにあるのは鎖に繋がれ、歩かされている子供たちの姿だった。

 彼ら、彼女らの未来には幸せはないだろう。男は道具のようにすり潰されて殺されるか、好色家や女性貴族に買われて性奴隷として生涯を終えるか、女は一生性奴隷としての生涯を送ることになる。

 ……それでも酔街外よりは良い生活が送れるだろうけど。


「「……っ」」」

 

 その様子を見てラミレイアもマリアも沈黙し、痛ましげに表情を歪める。


「ルト……」

 

 僕は静かに、だが何よりも力強い言葉でルトの名前を呼ぶ。


「わかっている……俺がすべきなのはアンデッドを駆逐して人間の生活領域を広げて金がなくて奴隷として売り払われる子供の存在が生まれないように努力すること……俺に今、解決出来る力はない……アンデッドを駆逐する。これが勇者として、俺が出来る最も確かな方法だ……」


「ふふふ。わかっているのなら良かったよ」

 

 僕はルトの言葉に笑いながら、頷く。


「結局はそうなのさ。君がどれだけあがいたところで無駄だ。何の意味もない。この世界は無惨で、無慈悲だ」

 

 ルトの

 僕はそれを見て満足気に頷いた。

 正義感で体を動かし、どんな人でも救えるように足掻く……そんな事ができるほどこの世界は優しくない。

 人間なんていつ滅ぼされてもおかしくないのである。

 この世界に希望なんて存在しない。

 下らない正義感を抱く必要なんて無い。

 目の前の苦しんでいる人間を平気で見捨てられるような人間でないと、戦力として活躍できない。

 僕はルトが人類の刃として成長しているところを見て満足気に頷いた。

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