第25話
奴隷について、世界の厳しさについて学んだところで僕たちは散策を続ける。
……なんか雰囲気が重いのだけど。
「……みんな。もうちょっと元気に行こ?あの子たちは奴隷なだけまだマシだって」
僕は気分が落ち込んでいるみんなへとテンション高く話しかける。
「だ、だがな……」
それに対して、ルトは言葉を濁らせる。
「奴隷を見ていい気分にならないよ……」
「我が帝国の汚点だな……」
「あんな小さな子たちの……これからの未来を考えると……」
ふぅむ。
やっぱり平和な、豊かな国の人間の価値観とギリギリのところの価値観があまりにも違いすぎているな……。
ここまで違うのかと僕も驚きを隠せないよ。
……日本人とかの先進国の価値観もひどかったもんなぁ。
動物愛護とか言って、そんなくだらない価値観を発展途上国の人たちに押し付けて、彼らの生活の豊かさを奪って殺していくんだもん。
価値観の違い……なんとかしなきゃだよな……。
大国の人たちって強いんだけど……先に精神が参ってしまって、使い物にならなくなるケースが多いんだよなぁ。
「言っておくけど僕は死霊術師に拾われて実験台にされているし、パルちゃんは奴隷なんかよりもよっぽど酷い環境である酔街外出身だよ?案外あんな感じで可哀想な境遇の子は平民とかだと多いんだよ?……ファースト王国も、アルメシア帝国も大国だから良い感じなだけでアンデッドに近いところの中小国なんて悲惨なんて言う言葉ですら足りないからね?平民は飢え、死体を貪り、王侯貴族であってもまともな食事にありつけない。そんな国もあるんだから!奴隷であるあの子たちに人間としての尊厳はないけど、命は保証されている分マシなんだよ!」
僕はみんなに向けて笑顔でそう話す。
「……ッ!」
「……だ、が」
「……」
「君たちが思っている以上にこの世界は腐りきっている。人類は終わっているんだよ。……そんなに気にすることじゃないんだよ……ん?」
僕はみんなに話している時、とある一つの店を見つける。
「魔道具の店じゃん。せっかくだし立ち寄ろうよ」
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