第22話

「行きます!」


 遠くから聞こえてくる罅隙の声。

 声のした方を向くと、巨大な魔法陣を作り大規模な魔法を発動しようとしてる罅隙の姿があった。


「『イモータルブリザーガ』」

 

 大規模な氷魔法が発動する。

 この闘技場内に冷たい雪が振り始める。雪に合わせて霧も発生する。

 霧の中から巨大なミノタウロスと同じくらいの氷狼が姿を現した。

 そして、その氷狼はミノタウロスへと突撃を開始する。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 ミノタウロスがハルバードを握り、氷狼へと振り下ろす。

 

 パリンッ 

 

 ミノタウロスによって打ち砕かれた氷狼はそのまま氷の霜となる。

 氷の霧はミノタウロスにまとわりつき、その体から体温を奪い、徐々に凍らせていく。

 ミノタウロスの動きが格段と悪くなり、隙だらけの状態となる。

 それを見たギリアは動き出す。

 僕はすでに準備完了である。罅隙が魔法を発動させている間に僕はすでに魔力を集め、魔法の発動の準備を終えている。


「『抜刀術───霹靂』」

 

 大地を抉る速度で駆け抜ける僕の抜刀術。

 雷を纏いし僕の刀はミノタウロスの右足を完璧に斬り裂いた。


「ォ?」


 右足を失ったミノタウロスはゆっくりと体を倒していく。

 

「『万雷』」

 

 倒れゆくミノタウロスに向かって幾つもの雷を落とし、地面へと叩きつける。


「『氷蔓』」

 

 罅隙が息も絶え絶えの状態で魔法を発動させる。

 幾つもの氷の蔓がミノタウロスの体を縛り、凍結化を進めていく。

 絶好の機会。

 

「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」

 

 ミノタウロスの巨躯が地面へと倒れる。

 それに合わせてギリアが大きなハンマーを持って跳躍。

 

「セイッ!!!」

 

 ミノタウロスの顔に向かってハンマーを勢いよく振り下ろした。

 魔法によって生み出された鉄によって大きさを何倍にも大きくした巨大なハンマーがミノタウロスの顔をぶっ潰した。

 ミノタウロスの顔は赤黒く染まり、眼球が転がる。


「良しッ!」


「ふぅー」


 動かなくなったミノタウロスを見てギリアが歓喜の声を上げ、少し離れたところにいる罅隙もほっと一息ついている。

 完全に終わりきった雰囲気。

 

 だが、まだ終わってない。


「みんな。最後まで気を引き締めて?」

 

 僕はそう告げ、刀を構えた。 

 

 空が……赤く、染まる。

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