第40話
僕は今日も今日とて義賊活動を熱心に行い、領地を飛び回る。
まぁ、今日も今日とてかい言いつつ、久しぶりの活動なんだけどね。
頼みで、御大護天皇の陣営をかき乱し、良い感じに手宮愛鷹の軍勢と御大護天皇の軍勢が御大護天皇が最終的に逃げることが出来るくらいにまで拮抗させ、手宮愛鷹の軍勢が辛勝を収めるように暗躍していたからね。
義賊活動に専念出来ていなかったのだ。
ということで僕はお久しぶりに義賊として活動し、お金を盗みに入っていた。記憶を完全に記憶し、再現することが得意な僕は少し盗みの活動から離れていたとしても腕が落ちることはない。
ちゃんといつもどおりの活動を行い、成功を収めた。
今日もがっぽりと相手からお金を奪った帰り道。
僕の帰り道に立ちふさがる人影が一つ。
「ふふふ」
目の前の人影に聞こえないように、小さな声で笑う。
ちゃんと来てくれた。
今日、この日、僕が、義賊ノーネームが皇都から近い大名の屋敷に忍び込み、お金を盗み、バラ撒く。
そんな噂がこの町中で広がっていたのだ。
彼らが僕からお金を受け取るには夜、起きて外に出ていないと行けない。だが、彼らは普段寝るのが早い。
だからこそ、あらかじめ僕がこの屋敷に盗みに入るよーという噂を流さなきゃいけなかった。
僕は必ず流れた噂通りに活動する。別に僕が流した噂じゃない、勝手に広まった噂であったとしても吸血鬼としての力をフル活用して必ず噂通りに動く。たとえ何があっても。
それは、民衆にお金を配るため、という理由ももちろんあったが、僕にはそれ以上の理由があった。
それは。たった一人。
たった一人をおびき寄せる。噂はそのためのものだった。
「あなたが義賊でござるね」
特徴的な語尾と小さな体躯。
その顔を隠すようにつけられた犬のお面。
それを無に帰すバリバリの個性を発揮して、僕の前に経つ小さな人影の、少女の名前はリリネ。水の聖女リリネだった。
『ござる』それはなんとなく侍のイメージがあるが、実際に『ござる』なんて語尾を使っているのは水の聖女リリネだけだ。
全く。一体いつどこで『ござる』なんて口調を学んだのだろうか?不思議で仕方ない。
「くくく」
僕は無属性魔法によって変えられた声を出して、笑う。
「何が可笑しい!」
「いやはや、そのまるで姿を隠すためにつけている仮面が可笑しくて可笑しくて。ねぇ。水の聖女リリネ、さん?」
「なっ!?」
僕に名前を呼ばれたリリネは驚愕の声を上げ、驚きの表情を見せた。
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