第1話

「ただいまー」


「おかえりです!」

 

「おかえりなさい」


 ドワーフ王国から帰ってきた僕をパルちゃんとレクシアが出迎えてくれる。

 

「アウゼスくん!」

 

 パルちゃんは僕に抱きついてくる。

 小さなパルちゃんの体。とはいえ僕もかなり小さな体なので、それなりの衝撃が来て倒れそうになる。

 なんとか堪えたけども。


「アウゼスはもう夕食を食べてきたのかしら?」


「いや、まだだよ」


「あらそう。じゃあ、一緒にたべましょう?もうすぐで作り終わるのよ」


「うん。そうする」

 

 僕はパルちゃんと共に家の中心に置かれているテーブルの方に向かう。

 それからしばらくして。


「出来たわよ」

 

 笑顔のレクシアが料理を運んできてくれる。


「今日はパエリアとカルパッチョよ。……あのおじさんがとても新鮮な海鮮を持ってきてくれたのよ。15分で往復して海まで行って取って来てくれたらしいのよ。海ってかなり近いのね」


「なるほど」

 

 ……15分で海まで行ってこの王都に帰ってこれるのはガンジスしかいないだろう。後でガンジスにお礼を言っておこう。


「それで、僕が居ない間に何か問題ごととか起きなかった?」


「えぇ。大丈夫だったわよ」


「一度怖い男の人が来たけどおじさんが追い払ってくれたの」


「あぁ、そんなこともあったわね」

 

 レクシアとパルちゃんの言葉。


「……へぇ」

 

 僕はその言葉に頷く。

 ……ふふふ。どこだろうか。その命知らずの組織は。僕の庇護下にあるレクシアとパルちゃんに手出しする愚か者どもは。

 裏社会に広い顔を持つ僕の敵となったこと……生まれてきたことすらも後悔させてやろう。

 

「アウゼスくんは?何かありましたか?」


「うん。色々あったよ……うん。実に色々あった」

 

 僕はパルちゃんの言葉に答える。


「へぇー。何があったのかしら?」


「えぇっとね……一番大きいのはドワーフ王国の王都が吸血鬼に襲われて崩壊したことかな」


「「……え?」」

 

 僕の言葉にレクシアとパルちゃんが固まる。


「ど、ドワーフ王国って確か、防御がすっごく硬い国よね?」


「唯一吸血鬼の侵攻を受けても無事な国であると聞いていたんですけど!?」


「吸血鬼の侵攻を受けても無事なんて嘘っぱちだね。吸血鬼を舐めすぎ」


「だ、大丈夫です!?」


「うん。だから今、僕はここに立っているんでしょ?」


「た、たしかにです!」


「……あまり危険なことはしないで。私はあなたに死んでほしくないわ」


「僕が居ないと生活もままならないしね」


「そんなの良いわよ。私が体を売って稼ぐから……だから」


「大丈夫。僕は死にゃしないよ」

 

 心配そうにしているレクシアを安心させるように笑いかけ、パエリアを口に運んだ。

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