第19話

 第三の試練。

 次は単純明快。武力を試すものだ。

 内容も至ってシンプル。めちゃくちゃ魔物を倒すというもの。


「がんばれー」


「が、頑張ってください!」


 闘技場のような場所の観客席に座っている僕と罅隙は声援を送る。


「おうよ!」

 

 そして、闘技場の舞台に立っているギリアがその声援に答えた。

 

 武力の試練。

 次々と出現する魔物たち。その相手は『自分一人できつくなるまでは自分一人がする!』とギリアが宣言した。


 さっきの試練で僕と罅隙はかなり長い時間魔物と戦っていたし、僕はともなく罅隙は結構キツそうだった。

 それを見て、ギリアが今まで守ってもらったそのお礼に自分が戦うというのだ。


「あたいを舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!」

 

 というわけで。

 ギリアは自分の得物であるハンマーを振り回し、魔物と戦っていた。

 結構重量がありそうな大きいハンマーを自由自在に振り回す。

 ハンマーが魔物をミンチへと加工し、ハンマーの柄が魔物を宙へと放り投げる。


「ほっ!ラァ!!!」

 

 だが、どれほどハンマーを巧みに操ろうとも、限界がある。ハンマーの重さと大きさは機動力を奪う。

 わらわらと群がってくる魔物たちを相手にするのは荷が重い……と思ったのだが、拳で全てを解決していた。

 体術で魔物たちを全て吹き飛ばしているのだ。

 ……ギリアってば体術も出来たんだね。


「……こ、このまま見ているだけでいいのでしょうか?」

 

 僕がぼーっとギリアの勇姿を眺めていると、僕と同じく隣に座って眺めている罅隙がポツリと呟いた。


「別に良いでしょ。ギリアが一人でやると言ったのだから。それに……もうすぐ大きなのが来そうだしね。それでまでは英気を養っていたほうが良いよ」


「……大きいの、ですか?」


「うん。そう」

 

 曇りなきヴァンパイアアイで、どんな魔法かを看破している僕は今回の試練について大雑把に理解していた。


「なんでわかるのでし」


 罅隙の言葉を遮るように風の音が僕たちを叩いた。

 目の前から……ものすごい速度で飛んでくる魔物が目に入る。


「あっぶな」

 

 僕は罅隙の前に立ち、手を前に差し出す。

 それと同時に強い衝撃が走り、僕たちに向かって飛んできていた魔物が僕の手の中へと収まる。


「ちょっと!危ないんだけど!」


 僕はギリアに非難の声を向ける。


「すまんすまん!でもこれで終わったはずだぞ!」


「まだ終わってないよ!ちゃんと気を引き締めて!」


「何?終わっていな……ッ!?」


 魔力が。

 魔力が弾ける。

 この場を魔力が包み込み、魔法が発動する。

 

 どろりっ

 

 ギリアの回りの魔物たちの体が溶けた。




 あとがき

 カクヨムコン7の中間考査通ってたよー。褒めてー。

 あんなにたくさんの作品通るんだね!他に投稿していた4作品も全部通ってたよ!すごくない?

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