第18話
第二の試練。
それはドワーフにとって最も重要な鍛冶の腕を試すもの。
どんな場所であっても、どんな素材であっても鍛冶が出来るようにならねばならない。
カンッカンッ
この場にギリアが金槌で鉄を叩く音が響く。
慣れない素材に四苦八苦しながらも、だが確実に一切の迷いなく振り下ろされる金槌がギリアの鍛冶師としての高い技量を思わせる。
ドワーフは何故かはわからないけど素材を見ただけでこの素材をどう使えばいいかなんとなくでわかるそうだ。
「大丈夫?罅隙?」
僕は隣の罅隙へと声をかける。
「は、はい!大丈夫です!」
それに対して罅隙が大きな声で言葉を返してきた。
「そうか。それなら良かったよ」
どんな環境でも。
暑い場所だったり、寒い場所だったり、砂漠だったり、森林だったり、洞窟だったり、浅瀬の池だったり。
そこにいるだけで死ぬ、という場所になるわけではない。
しかし、普通に死ねる環境になる。魔物たちがうじゃうじゃと湧いてきて、襲いかかってくるのだ。
それを僕と罅隙が一生懸命倒していた。
「氷華乱舞」
刀を持った罅隙が氷魔法を利用しながら魔物と必死に戦っていた。
氷魔法、水と風の二つを複合して使う複合魔法だ。
「雷華乱舞」
僕は罅隙をサポートするように刀を振るう。
魔物たちの強さはそんなに脅威ではないが、如何せんその数が多い。
僕が罅隙から離れて、主体的に魔物を斬り殺していっても良いが、そうした場合罅隙はもれなく魔物たちの肥やしになってしまうだろう。
そのため僕が罅隙から離れるわけにはいかないのだ。
「「氷雷華乱閃舞」」
幾つもの剣閃が走り、魔物たちの体を刻み込んでいく。
この試練が始まってから早一時間。
僕と罅隙のコンビネーションは素晴らしいものとなっていた。コンビ技まで出来てしまった。
「大きいのを三秒で倒してくるから、それまで耐えて」
「了解です」
現れた大きな魔物。体を暴れさせるだけでギリアまで攻撃を届かせてしまいそうなほどの魔物の出現に僕は対処する。
一瞬で大きな魔物との距離を詰め、刀を振るう。ギリアに影響が出ないように小さく。
「終わったぞ!」
僕が一瞬でこの魔物を細切りにし、罅隙の元まで戻ったのと同時に。
ギリアが大きな声で告げた。
そんなギリアの額からは滝のように汗が流れ、服を濡らしている。結構大変だったみたいだ。……それでも魔物と命の削りあいしていた僕たちの方が大変じゃないか?
……さっきから補佐としてきている僕たちのほうが苦労していない?
これはギリアの試練だよね?
第二の試練、クリア。
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