第17話
視界を包んでいた光が消え、前が見えるようになるとそこに広がっていたのは青白く光り、輝く回廊。
僕は回廊に、ギリアのそばに降り立つ。
「あれ?ギリアはもう終わったの?」
僕は先に回廊で待っていたギリアに向かって尋ねる。
結構早く終わらせたつもりだったんだけど……ギリアの方が速いのか。
まぁ、たしかにギリアからはあまり闇を感じられないしな。……いや、あまりというよりも一切感じられない。悩みとかあるのだろうか?そう疑いたくなるレベルだ。
「終わった……?一体何を言ってい……うっ」
光が。
ギリアの言葉を遮るように光が瞬き、僕もギリアも目を瞑る。
「わ、私が最後でしたか。すみません」
光が消え、さっきまでいなかった罅隙がいつの間にか僕の前に立っていた。
「ん?さっきから何の話をしているのだ?」
ギリアは首を傾げていた。
「え?……君は試練を受けていないの?」
「は?試練?何を言っているんだ……?あぁ……そういえば確か『お前には闇がない!』と聞こえてきたのだが、これが原因か?」
「「えぇー」」
ギリアのあっけらんとした言葉に僕と罅隙のげんなりとした言葉が重なる。
……この試練の主人公はギリアで、僕たちはその補佐でしょう?なんで補佐である僕たちだけが試練を受けて、メインであるギリアが受けていないんだ……?
この試練の意味は……?
「え?何かあったのか?」
僕と罅隙のげんなりとした態度を見てギリアが首を傾げる。
「君は今までお気楽に生きていた、ということがわかったよ。先に進もうか」
「そうですね……ふぅ、普通に疲れました」
罅隙の表情には精神的な疲れが見て取れる。
……試練をクリアするのに苦労したのだろう。罅隙の闇……おそらくは和の国で起きた内乱のことだろうからね。戦争、内戦、人と人が、人とアンデッドが戦い、殺し合う場で植え付けられるトラウマは人の奥深くまで傷つけるからね。
「え?気になるのだが……?」
「うるさいよ。君の試練でしょ?君が頑張ってよね。すでに終わった試練よりこれから来る試練だよ!」
「おう!」
僕の言葉にギリアは頼もしい声で頷く。
「あたいの力を存分に発揮してあげるからな!」
ドワーフの試練。
僕の曇りなきアンデッドアイで確認した全第三試練のうち、第一の試練。
当事者であるギリアが何もせず、その補佐として訪れているだけの僕と罅隙の二人だけが試練を受けることになる、という良くわからない結果になったものの、第一の試練は無事、突破した。
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