第40話
「危ねぇ!!!」
叫ぶギリア。
彼女の瞳に映っているのは罅隙の後ろに立っている吸血鬼の姿。
さっき罅隙が倒した吸血鬼は『鳥獣血描』によって作り出された分身だ。
「え……?」
罅隙が驚き、後ろを振り返ったときにはもう遅い。
吸血鬼の抜き手は罅隙がもう避けられないところにまで迫ってきていた。
……罅隙の、腹を……吸血鬼の抜き手が貫いた。
罅隙の手から刀が落ち、体が崩れ落ちる。
そんな罅隙に止めを指すために抜き手で頭を貫こうとする。
「あぁ……」
ギリアの口から小さな声が漏れる。
友達が死ぬ。
死ぬ。死ぬ。死ぬ。
なんで……?
守りたい……守らなきゃ。
「あ……」
ギリアは一歩前に踏み出し、手を伸ばす。
「駄目!!!守って!」
『分霊』──────発動。
ギリアの思いは、先祖の霊に届いた。
ガンッ
「あ?」
吸血鬼の手刀は罅隙の前に現れた一つの巨大な盾によって防がれる。
「『分霊』」
ギリアの周りを金色に光り輝く防具が包み込み、一つの巨大なハンマーがギリアの手に握られる。
「ヤァ!」
ギリアは跳躍し、吸血鬼に向かってそのハンマーを振り下ろした。
「なっ!?ちっ……」
吸血鬼は血を操作しその一撃を防ぐ。
「『凍結花』
そんな吸血鬼が操作した血は罅隙の氷魔法によって凍らせられる。
「死にぞこない、ガァ!」
「ハァ!!!!!」
ギリアの一撃は容易く吸血鬼の防御である血を破壊する。
「クッ……こんなァ……!」
そして、そのままギリアの一撃は吸血鬼を叩き潰し……確実に『死』を押しつぶした。
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