第44話


 闇の聖女。

 

 その名は蛇蝎のように嫌われた。


 私は生まれながらに闇魔法を使用することが出来た。出来てしまった。

 それ故に私は『アンデッドの子』と呼ば続けた。

 村の人たちからは石を投げつけられ、親からはまるでいないものかのような扱いを受けた。

 毎日傷つき、いつも虫や草などを腹に収めて日々の空腹をしのいでいた。


 あの日……あの人に、終焉騎士であるキーネ姉に拾われるまで……私はそんな生活を送っていた。

 私はキーネ姉の進めで終焉騎士の一人として活動することになった。


 キーネ姉に拾われ、終焉騎士の一人として行動しているときも私は……良い瞳で見られることはなかった。

 ずっと……ずっと……生まれてからずっと私は迫害され続けてきた。

 ……生きてちゃいけない存在だと言われ続けていた。

 

 それから私は、聖女としてファースト王国に呼ばれ、学園に入学して、勇者の人や他の聖女の人たちと行動することになった。彼らは……私を迫害することはなかったが……私は上手くコミュニケーションを取ることが出来なかった。……私が生きてちゃいけない存在だから。

 

 そんな中で私は一人の男の子と出会った。

 アウゼス君。

 良くわからない子。勇者よりも、どの聖女よりも強く、私と同じように闇魔法を使える学園最強の男の子。

 私は彼に憧れ、そして妬んだ。

 闇魔法を持ちながら国王陛下に信頼されている彼を見て、闇魔法を持ちながら笑顔で生活している彼を見て。

 

 だが、そんなの……私には不相応だった。彼を憧れるなんて、妬むなんて。

 

 私を拾ってくれた親のような人であり、戦いを教えてくれた師匠でもある人がとある組織に攫われ……それを助けようとした。それでも私は何の役にも立たなかった。

 とある組織の位置の情報をもたらしたのは彼だ。基本的に戦っていたのは彼とミネルバさんだ。私は足を引っ張り続けただけ。

 何も出来ていない……。

 

 そしてそんな私のせいで彼は今、地面を転がっている。

 私のためにボロボロになるまで戦ってくれた。その間私は何も出来なかった。ただただ恐怖で固まっていただけ。


 ……そんな愚かなものの末路なんてこんなものだろう。

 これが相応しい。

 私はこれに犯され……苗床にされる。

 あぁ。それこそ生まれてくることさえ許されぬ私に相応しい末路じゃないか……。


 パンツも完全に溶かされ、触手が私の下の口から中に入ってくるその時ですら私は抵抗しなかった。抵抗しようとすらしなかった。

 なのに─────


「サーシャは、僕が守る」

 

 私は地面に落ちる、そしてふわりと一つの上着が被せられる。ほとんど全裸に近い私の体を隠すように。


 

 私は立っていることさえままならないようなアウゼス君に救われたのだ。

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