第1話

「……何で罅隙が転校してきているの?」

 

 休み時間。僕は罅隙の前に立ち、尋ねる。

 新しくこのゴールドクラスに転校してきたのは罅隙だった。和の国、天皇である。


「何知り合いなの?」


「……いいや。でも知ってはいるよ。この人は罅隙。和の国の天皇。つまり王様だね」


 僕の一言に僕と罅隙を除くクラス全員が硬直する。

 そして、


「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!!!」」」


 僕と罅隙を除くクラス全員が叫んだ。


「ひどいじゃないですか!」

 

 そんな中罅隙は僕を睨みつける。


「知り合いじゃないだなんて!あなたは私を助けてくれたじゃないですか。……絶望の中手を差し伸べてくれたじゃないですか」


「……何でそれを?」


「梨里音と浅池から聞きました」


 ……まぁ、うん。口止めはしていなかったけど。

 

「知っていたんだね。あの二人も言わないで欲しかったよ」


 もう二度と和の国とは関わらないからいちいち口止めするのも面倒だからしていなかったんだけど……罅隙がここに転校してくるのなら口止めしておけばよかった。

 ……面倒事はごめんなんだよなぁ。


「え?え?え?」

 

 僕と罅隙。二人の話に周りの人たちは混乱しだす。


「……がっつりと内戦に関わっていたの?」


「うん。まぁ。何だったら内戦が早期解決したのは僕のおかげだと言えるね」


「「「えぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!!!」」」

 

 再びの絶叫。


「え?……すごいな。お前……」


「信じられない……楽しかったって……えぇ」

 

 みんなから少し引いたような視線を向けられる。パルちゃんまでもが少し引いたような視線を僕に向けてきている。


「それで?罅隙はなんでここに転校してきたの?和の国はいいの?」


「はい。問題ありません。……実を言うと私は邪魔なのです。私の立ち場は少し不安定でして……それに私自身の能力はあまりないですから。私の存在が内戦の火種になりかねないのですよ。暗殺の危険もありましたし。浅池が『和の国の支配はしておくので、罅隙様は大陸の方に出て学んできてください』と言われまして」


「なるほどねぇ」


 まぁ浅池なら完璧に支配出来るだろうな。

 結局国において絶大な権力を保持するのは商人なのだ。世界の米帝を見ればよく分かるだろう。

 浅池の商会は異常すぎるし。


「それでですね。私からも質問いいでしょうか?」

 

「ん?何?」


「何でアウゼス様はゴールドクラス何でしょうか?勇者様よりも遥かに強いと思われるのですが……」

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