第2話
「別に遥かに……って言うわけではないけどね。ステータス上の話で言えば多分僕よりもルトのほうが強いよ」
僕は罅隙にそう答える。
技術であれば僕のほうが勇者よりも遥かに、次元が一つ二つ違うレベルで上であると断言できるが、ステータスの数値だけを見れば勇者よりも僕は低い。吸血鬼の力を封印した状態の話でだけど。
「まぁでも技術力もスキルの豊富さも僕の方が上だから実際に戦ったら僕が勝つと思うよ」
「「え?」」
僕の言葉にニーナもガンクスも動きを止める。
「ですよね。なのに何で
「うーん。ほら。僕ってばこの国の人間じゃない。孤児からの入学だったから。力を抑えてたんだよね。上のクラスに行けば行くほど貴族の人とかと会うことになりそうだからね。僕はその人たちから目を向けられたくなかったんだよ。……貴族たちの無慈悲さは僕がよく知っているからね。本当はゴールドクラスになるつもりもなかったんだけどね。……でも、このクラスのみんなと触れ合い僕に敵意を向けてくるような人はいないってわかったからね。力を隠すのを辞めたんだよ」
僕はあらかじめ用意していた嘘を話す。
力を隠していた本当の理由は『ゲームのアウゼス』がそうしていたからなんだけど。
力を隠すのを辞めた理由は『ゲームのアウゼス』とは同じ道に進む事ができないと悟った僕は勇者たちに率先して力を貸して、ちゃんと世界の危機と戦い勝てるように育てるという方針に切り替えたからだ。。
流石に吸血鬼であることまではバレないようにはするけど。吸血鬼だってバレたら流石にここには入れないだろうからね。
「なるほど。そういうことですか」
僕の言葉に罅隙は納得がいったように頷く。騙されてくれているようなので良かった。
「考えているんですね!」
そして、パルちゃんは輝いた視線を僕に向けてくる。
んー。嘘ついているから心が痛い。
「よしよし」
「えへへ」
とりあえず僕はパルちゃんの頭を撫でることにした。
「……なんかすまないな」
「えぇ」
僕の話を聞いてニーナとガンクスはちょっと落ち込んだ表情を見せて僕に謝ってくる。
「別に二人が謝ることじゃないよ。二人は僕のことを対等な人として扱ってくれているからね」
「……でも、貴族の中には……」
「良いの良いの。今、僕は楽しいから。今幸せなら良いんだよ。過去ばっかり気にしていても傷つくだけだよ?」
「ほらー、席につけー。授業を始めるぞー」
僕らがそんな話をしていると、先生が教室の中に入ってきた。
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