第8話

「これがアルメシア帝国の制服らしいぞ」


「あ、届いた?」

 

 僕はベッドに寝っ転がったまま玄関の方に居るルトの方へと声を投げかける。


「あぁ。届いたぞ」

 

 ルトは袋を持って玄関からこちらへとやってくる。

 左腕にはアルメシア帝国の制服らしきものが握られている。

 

 この国に来てから早一週間。

 僕とルトは一度も外に出ることはなく、ただただ部屋の中でのんびりして過ごしていた。


 料理は三食ちゃんと宿に働いている人が部屋へと運んできてくれるし、外にわざわざ出る必要がなかったのだ。

 別にアルメシア帝国の王都に観光したいところなんてなかったので、ずっとダラダラと宿にいたのだ。


 その間にルトを鍛えることができたし。

 室内で出来る筋力トレーニングだったり、魔力操作の訓練だったり、精神を落ち着かせるための瞑想だったり。

 室内でも出来ることはいくらでもあった。

 ちなみに、ルトは案の定びっくりするくらい弱かった。

 土の聖女のイベントが終わっている主人公とは思えないくらいに弱かった。水の聖女のイベントが終わったときの主人公クラスだった。

 実力としては。

 割りと問題があるので、この機にちゃんとガッツリと鍛えたいと思っている。


「これが制服らしいぞ!」

 

 ルトが制服を手に持ち、自分の体に当てて心底嬉しそうに告げる。

 握られている制服。ルトの体に当てられている制服。

 それは、現代日本の高校とかで見るようなおしゃれな制服だった。

 とてもじゃないけれど、中世の世界の制服とはとても思えない。普通の服は全然現代日本感ないのに、制服だけ現代日本感がすごい。

 こういうところでようやくこの世界がゲームが元となっている世界なんだなぁ、と実感する。


「どうだろうか?似合っているだろうか?」


「うん。似合っていると思うよ?」


「そうか!良かった……!いやぁ、俺らが普段通っている学校とは作りが違うな」


「まぁ、別の国の服だしね。そりゃ、変わるよね」


 僕も服から自分の分の制服を取り出す。


「ほいさ」

 

 僕は魔法を使って一瞬で着替える。


「うん。何も問題はないね」

 

 ジャストフィット。

 ちゃんと僕のお子様ボディーにも合わせて制服が作られていた。


「アウゼスも似合っているぞ」


「ふふふ。ありがと」

 

 僕はルトの言葉に感謝を告げた。

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