第16話

 修学旅行二日目。

 今回の修学旅行は6泊7日とかなり長いものとなっている。

 そのため、自由な観光が設けられている時間はかなり長い。

 今日もまたグループごとの自由行動で、和の国の観光となっている。

 

「ふわぁ」

 

 僕の隣に座っているパルちゃんが大きなあくびを一つ。

 僕とパルちゃんは今お団子を片手に日向ぼっこを楽しんでいた。

 今頃ガンクスとニーナの二人は道場に出向き、侍としての訓練の体験をしているだろう。

 僕はすでに一流の侍としての記憶と経験を喰らい、ものにしているのでそんな体験をする必要など一ミクロンもない。

 そして、パルちゃんも戦闘するタイプではなく、サポート向けのタイプ。ゴリゴリに前へ前へと出る侍の訓練をパルちゃんが体験しても何も得られない。

 そう判断し、僕とパルちゃんは道場に行っていないのだ。


「あらあら。こんなところで休憩?姉妹かしらねぇ」


 僕とパルちゃんがのんびりしているところにおばあちゃんが話しかけてくる。


「まぁそんなところです。はい」


「はいです!」

 

 姉妹でもなければ、血の繋がりもないけど。

 まぁでも似たようなものだ。


「ここらへんじゃ見かけない子ねぇ。あ!修学旅行生さんかえ?」


「はい。そうですね」


「ですです!」


「あらぁそう!和の国は良いところだからねぇ。楽しんでちょうだいねぇ。あ、飴ちゃんいるかい?」


「あ、ありがとうございます」


「わーいです!」

 

 僕らは飴ちゃんをもらう。


「いい笑顔ねぇ。じゃあ楽しんでねぇ」


「はい」


「おばあちゃんも元気にしてくださいねぇー!」

 

 おばあちゃんが僕たちの元を去り、パルちゃんが勢いよく手を振る。

 



「……時間的にそろそろですかね?」


「そうかもね」

 

 僕たちが団子を食べ終え、貰った飴ちゃんを舐め終えたところでパルちゃんが呟く。

 もうそろそろニーナとガンクスの侍訓練体験も終わっている頃だろう。


「それじゃあ行こっか?」


「はいです!」


 僕とパルちゃんは立ち上がる。

 二人、手を繋いで侍訓練体験が行われている道場に向かった。

 

 ■■■■■

 

「あ、ニーナとガンクスのお連れの二人だね?二人は奥にいるから案内しよう」

 

 人々の掛け声と竹刀のぶつかり合う音が聞こえてくる道場に来た僕らは道場にいた一人に声をかけられ、二人がいる場所まで案内される。

 政治体系などは南北朝時代に近いのだが、文化レベルは少しだけ高く江戸に多く普及された竹刀や飴も普通に普及されていたりする。


「おーい。お連れさんが来たよ!お二人さん!」

 

 道場で竹刀を手に握っているニーナとガンクスに案内してくれた人が声をかけた。

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