第41話

「大丈夫〜?」


「うん。大丈夫だよ。わざと食らったわけだし。あれくらいなら避けられたしね」


「ダメだよ!わざと食らうようなことしちゃ!私はアウゼスくんが傷つくところなんて見たくないの!」

 

 僕とマリアお姉ちゃんは一緒に王都市街を歩く。

 僕のためのポーションを買うためだ。

 ポーション。

 飲むだけで体力を回復させる優れもの。品質向上が幾度も行われ、ポーションの味は爽やかな味わいに。

 僕と第二王女様が模擬戦した訓練場があまり使われていないところだったせいで、ポーションを切らせていたのだ。

 ……ポーションなんて要らないんだけどなぁ。


「いや、傷つかないなんて無理じゃない?僕も一応戦う人間なんだし」

 

「……うぅ。わ、私が強くなって守ってあげるから!」


「……っ!」

 

 僕はマリアお姉ちゃんの言葉に面食らう。


「そうすれば万事解決だよね!」


「……何も解決していないよ?別に僕はマリアお姉ちゃんに守られるほど弱くもないし、ずっと一緒にいられるわけじゃないしね」

 

 むしろ僕が守ってあげる側だしね。

 僕の血を飛ばし、マリアお姉ちゃんを狙う不届き者を殺しながら話す。

 全く。マリアお姉ちゃんの命を狙っているやつが多すぎる。


「むぅ!」 

 

「あ、ついたよ」


 僕達は目的地であるポーションを売っているお店にたどり着く。


「じゃあ買って来るね!良いのを買ってきてあげるから!」

 

 意気揚々とマリアお姉ちゃんがポーションを買いに行く。

 僕はそんなマリアお姉ちゃんの後についていった。

 

 ■■■■■

 

 ポーション。

 生者の傷を癒やす聖なる飲み物。

 それは死者、吸血鬼、ヴァンパイアである僕の体を蝕む。

 

「どう効くでしょ!」

 

 マリアお姉ちゃんがドヤ顔で告げる。

 

「うん。すっごく効くね」

 

 じんわりと体の内部が痛い。

 効き目は抜群だ!良い方向にではないんだけどね!


「じゃあみんなの方に合流しようか」


「うん」

  

 僕とマリアお姉ちゃんはポーションを買いに行ったのだが、他のみんなもみんなの方で出かけている。勇者と第二王女様と、マリアお姉ちゃん以外の6人の聖女が。

 みんなは第二王女様のお願いで裏組織の取り締まりに向かっているのだ。

 犯罪行為がないかどうか。

 僕は裏組織のみんなに第二王女様が来ることを知らせ、犯罪行為などは一切しないように通達してある。

 僕とマリアお姉ちゃんは他のみんながいる繁華街から少し離れた寂れた場所に向かって歩き出した。

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