第11話

「ちょっと待て……詳しくその話を聞かせてくれ……吸血鬼と人間の間に子供は……出来るのか?」


 ベルモンドがさっきまでの恐慌状態なんかを忘れて、真剣な表情で僕に聞いてくる。……え?こいつらマジで知らなかったの?

 

「出来るよ」

 

 僕の答えに周りの人間は呆然と口を開ける。


「僕ら吸血鬼はゾンビやゴーストと同じアンデッドだけど、次元が全然違うんだよ」


「……。そのハーフの特徴は何だ?」


 バングが静かに問いかけてくる。


「吸血鬼としての力は結構下がるかな。血鬼能力とか、吸血とかも出来ないよ。それでも闇魔法も使えるよ。それに合わせて他の属性も使えるよ。吸血鬼は雷属性と闇属性しか使えないけど、ハーフは他の属性使えるんだよね。他には……身体能力も吸血鬼レベルに強いよね。……最大の特徴はアンデッド特有の気配がなくなることじゃない?紛れてても全然気づかないと思うよ」


「馬鹿なッ……!」


「……ッ」


「……なんと」


「そ、そんなことが……」

 

 僕の言葉に全員が絶句する。


「じゃ、じゃあ人間社会に紛れ込んでいても気付けないということなのかッ!」

 

「いや、ないよ」

 

 僕はベルモンドの絶叫を否定する。


「策とは弱者がたてるものなんだよ?強者たる吸血鬼が人間社会に紛れ込むなんていく下らない作戦をたてるわけがないでしょ?」

 

 吸血鬼は基本的に知性もりもりだ。いくらでも作戦ならたてられるが、傲慢なので作戦なんかたてないのだ。

 そもそもの話。吸血鬼がやろうと思えば人類ガンジス以外滅ぼせるからね。

 今は権力争いとか自由に遊んでいる吸血鬼とか、心を失った吸血鬼とかいるから吸血鬼が人類を滅ぼそうと行動を起こしたりなんかはしないだろうけど。


「そ、そうか……」


 僕の言葉にベルモンドが曖昧に頷く。


「僕から振っておいてなんだけど、こんなのどうでもいいでしょ……。そんなことより今はあの化け物のことが気になるんだけど?あれは何なの?」


「あぁ。そうか。……お前は今我が国を荒らしている不届き者を封印してもらったんだな?」


「うん。そうだね」

 

 ベルモンドの言葉に僕は頷く。

 そして、僕は自分の影から真っ赤な血の球体を取り出す。


「な、ナニコレ?」


 いきなりどでかいものを取り出した僕にベルモンドは困惑し、ガンジスとバングは睨みつけてくる。

 ちなみにアーレスは空気となっている。まぁ周りの面子が凄すぎるしね……。

 

「僕の血鬼能力による拘束、便利なんだよ?これ」

 

 僕はそう言って束縛血界を解除し、化け物を解放した。

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