第10話
いつぞやの時も使った会議室。狭く、存在すら公開されていない密室。
そんな会議室に
ファウスト王国7代目国王ベルモンド。
ノーヌス教会異端審問官第一席ガンジス。
終焉騎士序列第一位、騎士団長、終焉のバング。
終焉騎士序列第十八位、奔放のアーレス。
黄昏の吸血鬼、アウゼス。
五人の錚々たるメンバーが集結していた。
そもそも人間と吸血鬼が同じ席に座ることが異常事態なのだけど。
「……」
バング。
終焉騎士団の騎士団長であり、僕と対等に戦うことの出来る数少ない存在の中の一人だ。
まぁ僕が後先考えずに全力で戦ったら辛勝出来る程度の相手だ。ガンジスの足元にも及ばない。
「……随分と強くなったものだ……貴様が牙を剥けば……」
渋く、力強い声が辺りを包む。修羅の声。吸血鬼を滅すことに己が人生全てを捧げてきた男の声。
「ご安心を老卿。この化け物が人類に歯向かうようなことがあれば私が肉片のかけらも残さず浄化するので」
バングの警戒するような声にガンジスが言葉を告げる。
「……ひどいなぁ」
僕は二人の会話に言葉を漏らす。
「僕だって人類のために結構戦っているじゃんか。少しくらいは信用してくれても良くない?」
「ふん。ほざけ小僧。貴様のような吸血鬼を、化け物風情を信用することなど無いわ」
ガンジスが僕に強い言葉を投げかけ、バングは静かに僕を睨む。僕ら三人の殺気が充満する。
それにベルモンドも、アーレスも気圧され黙り込んでいる。
「ひどいなぁ。僕から言わせてもらえば君の方が不思議だよ」
僕はガンジスを睨みつける。
「人間の強さじゃない。……吸血鬼とのハーフなんじゃない?」
「はっ。そんなわけがあるわけがなかろう」
僕の一言をガンジスは冗談を笑い飛ばすような感じで一笑に付す。
「えぇー。そう?人間と吸血鬼のハーフの場合は力はちょっと下がるけど、その代わりアンデッド特有の気配は消えるからね。君が吸血鬼と人間のハーフでも何も不思議なことじゃない」
「「「「は?」」」」
僕の言葉に全員が固まる。
「え?は?……何だそれ。……吸血鬼と人間のハーフがいるのか!?」
ベルモンドが信じられないと言わんばかりに立ち上がり、叫ぶ。
驚いているのはベルモンドだけじゃない。他の三人も顎が外れんばかりに驚いている。……ガンジスとバングが驚いているところなんて始めてみたぞ僕は。
「え?知らないの?」
僕はそんな三人を見て首を傾げた。
……え?マジで知らないの?浸透していないの?な、何をしていたの……?教会と終焉騎士は。
信じられないんだけど……。
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