第47話

 僕が心臓に突き刺した雷を纏った妖刀はザラリオの心臓を蝕み続ける。

 

 バチャ

 

 そして、落ちる。

 ザラリオの心臓は血の塊となってその場に落ちた。

 空間中に霧として漂っていた血も液体となって落ちる。


「ふぅー」

 

 床に流れている血は僕の元へと流れてきて、僕の中へと取り込まれる。


「にょっこらほっしょっと」

 

 僕はザラリオがやっていたように血で武器を作り出していく。そしてザラリオのように血の鎧も発動させ、自分の身を囲んだみたりもしてみる。

 ……うーん、と。武器ならすでに間に合っているんだけど……まぁ色々と応用が聞きそうだし結構当たりな方ではあるかな。

 

「あー大分荒れたなー」

 

 僕はこの戦いによって荒れに荒れた周りを確認する。

 最早すべて吹き飛んだと言っても過言ではない。

 僕がぶっ放した大砲によって。やっぱし流石にこんな狭いところで80cm列車砲、グスタフをぶっ飛ばすのは流石にやばかったか……。

 

「んで?お前らは平気だよね?」

 

 僕は端っこで必死に身を守っていた騎士たち並びに裏の人間に視線を向ける。

 

「え、ま、まぁ。なんとかな」

 

 裏の人間がよろよろと立ち上がる。

 

「まぁ勇者と聖女さんたちはなんとか守りきったよ……。第二王女の方は騎士連中が守ってるしな。……もうちょっとでいいから周りに配慮してほしかったよ。あんたならもっとスマートに勝利できただろ……」


「早く帰りたかったんだよ。一応僕よりも格上なんだから超火力でぶっ放した方が速いじゃん!ねぇ?」

 

「いや、まぁ」

 

 僕に強く出ることが出来ない哀れな哀れな裏の人間は頷くことしか出来ない


「そいつら貸して」

 

 僕はルトたちの方に視線を変える。

 

「「「はっ」」」

 

 騎士たちは僕の命令に素直に頷く。


「にょっと」

 

 ルトたちに軽い精神干渉魔法をかけていく。

 ルトたちは勢いよく傀儡のように立ち上がる。

 正気のない目を浮かべて。


「ふんふんふーん」

 

 精神干渉魔法を使って記憶を良いように捻じ曲げていく。

 こんなもんでいいかな?

 じゃあ次は後処理しなきゃだな。

  

「オキロ」

 

 血が湧き上がる。

 僕の血の影が伸び、今まで僕が血を吸ってきた不死者共が数人顔を見せる。

 

「こいつら自由に使っていいよ」

 

「お、おう……」

 

 裏の人間からドン引くような視線を向けられるが僕は気にしない。

 不死者……ゾンビの亜種のような奴らを押し付けられる裏の人間たちも可哀相だけど気にしない。僕に出来るのはこれくらいだ。


「じゃあ僕はこのまま帰るから」

 

 洗脳したルトたちを連れて、僕はこの場を後にした。

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