第52話
「こちらが国王陛下よりのお届け物です」
ルトが王様から貰った書簡を持ち、近づこうとする。
僕はそれを押しのけ、一気に当主との距離を詰めた。
「『雷天』」
雷を纏った手刀で僕はレッサーヴァンパイアと化した当主の心臓を貫く。
「何をしている!?」
いきなりの凶行に走った僕にルトが驚愕の声を上げる。
「いいから黙ってろ」
僕はルトを蹴り飛ばし、第二王女や聖女まとめて結界で覆い隠し守る。
「やっほ。久しぶりだね。まぁつい最近あったばかりだけどね」
「あぁ久しぶりだ」
僕はつい最近会ったばかりのエルダーヴァンパイア、吸血鬼と名乗った男に挨拶を向ける。
「あぁ。そうだな」
「それで?今日はなんて呼べばいいかな?」
「……なるほど。そうだな。……ファートゥムなんてどうだ?宿命なんて洒落た意味を持っているんだよ」
「いいじゃん。いいじゃん。前回の吸血鬼なんかよりも遥かにいいよ」
僕はファートゥムに拍手を送りながら、いきなり後ろから斬りかかってきた危ない人の一撃をザラリオの持っていた能力を使い、血を盾とし防御する。
「……それはっ……!」
後ろの狂人は僕の能力を見て目を見張る。
「えぇ、いきなり人に斬りかかってくるとかやばくない?ちゃんと自己紹介して?」
「……なるほど。確かにお前はザラリオを倒したようだな……」
「ちょっと?」
「だが舐めるなよ!奴は我ら五天の中でも最弱!あいつもただのヴァンパイアごときに負けるとは五天の面汚しよ……」
なんか自己紹介してって頼んだのに全然関係ないことを話した狂人くん。
……というかそこは四天王じゃないのね。
というか一人で全役こなすの……?ちょっとダサくない?大丈夫?
「ねぇねぇ。この人いきなりべらべら喋りだしたんだけど……怖いんですけど……。オタクの教育どうなってんの?」
僕はファートゥムにこそこそと耳打ちする。
「いや、ほんとそれな。いやぁすまんな。こいつコミュ障で……」
ノリがいいファートゥムは僕の言葉に乗ってくれる。
「誰がコミュ障だ!?お前はどっちの味方なんだッ!」
狂人くんは怒鳴り声を上げる。
「俺の名前はギンザラ!五天最強の男だッ!」
狂人くん、ギンザラは自信満々に告げる。
「ってかほざいてますけど?」
「いやぁー完全に嘘ですね。真っ赤な嘘。こいつの実力はそこまでじゃない。ザラリオと並んで五天最弱だろうな」
「ほむほむ」
僕とファートゥムはこそこそと会話を継続する。
「貴様らァ!というか誰が最弱だァ!」
それに対してギンザラは激怒した。
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