第12話
ドワーフ王の試練。
それはいきなり始められるものではないらしく、試練は今から一週間後に行われるんだそうだ。
それまでの間はここで自由に過ごしていいらしい。
……思ったよりも長い間この国にいることになりそうだな……。
「おぉー。なるほど……流石はドワーフです。鍛冶の技術が桁違いですね……」
今は罅隙の望みでドワーフの鍛冶の様子を見学していた。
ものづくりを得意とするドワーフの国らしく、そこらへんを歩いているだけで鍛冶をしているドワーフたちの姿を至るところで見ることが出来る。
「まぁな!あたいらドワーフたちの最大の誇りだからな!」
罅隙とギリアがハイテンションで回っているのを僕は後ろで静かに追っていく。
「……武器や防具へと込められている『思い』が段違いですね?私の国の刀鍛冶も自信と思いを持っているはずなのに……ここまでの差が出るのは何故でしょうか……?」
「あぁ。それはあたいらドワーフたちの全員が持っているスキルによる効果だな。あたいたちドワーフは武器や防具に込める自分の思いを強くできるスキルを持っているんだよ」
「なるほど……」
『思いの力』
それはこの世界だと結構大事なのだ。強い思いが込められた武器や防具は強くなり、大した思いも込められていない武器や防具は大した強さを持てない。
僕のよく使う禍々しい力を持っている妖刀。その他にも禍々しい力を持った魔剣などと言った呪いの武器。
それらは総じて強力な力を持っている。
禍々しい力を持っている武器は、その武器を持っていた人間が死んだときに感じた負の感情が武器に宿り、禍々しい力を得ているのだ。
正義、希望、喜び、願い。
美しい正の感情。尊ぶべき正の感情。
だがしかし、それは負の感情には敵わない。
憤怒、絶望、悲哀、怨嗟。
これらの負の感情は、死んだときに覚えたこれらの負の感情の強さは正の感情の強さを容易く凌駕する。
なので、僕が吸血鬼である限り、禍々しい力を持った武器をいくらでも再現出来る間は、彼らドワーフたちの作った武器を使うことはないだろう。
「そのスキルは私たち人間にも使えるスキルですか?」
「あぁ。使えたはずだぞ。確かこのスキルを使っていた人間もいたはずだ」
「なるほど……ありがとうございます。良いことが聞けました」
……あ、美味しそうな串焼き見っけ。買ってこよ。
僕は二人がドワーフの鍛冶について盛り上がっている中、屋台の食べ物に舌鼓を打っていた。
うん。ドワーフたちの料理も美味しいね!
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