水の聖女

プロローグ

「やぁ、王様。今日は何だい?」

 

 僕は王都に着たばかりの頃に着た部屋、王様の元を訪れていた。

 今日もまた僕は王様に呼ばれ、わざわざやってきたのだ。

 

「なぁに。護衛対象を増やしてもらおうと思ってね」


「……そのために僕を呼んだの?」

 

 僕は王様の言葉に眉をひそめる。

 護衛対象を増やすなど今更だ。

 第二王女様の護衛や、つい最近ルトたちに渡された任務。

 ルトが僕に手助けを望んできた依頼の数々。

 さすがにものすごいお人好しで警戒心が心配になるくらい少ないルトとはいえ、まだ出会ったばかりの僕にそんな大事な依頼の手助けをするように頼む。なんてことは考えにくい。

 だが、ルトは僕に手助けを望んだ。

 つまり、ルトをそそのかし僕に手助けを求めるように仕組んだ黒幕がいるはずだ。

 そして、ルトを誘導し、僕に手助けをするように裏から手を回していたのは間違いなくこいつだ。

 今まで散々色々裏から手を回しておいて今更?

 

「あぁ」


 王様は頷く。


「ちゃんと話を通してから頼むのが筋だろう?」

 

 ……あくまで王様はしらをきるつもりらしい。

 全く何のためにそんなことをしているんだが……。僕に抵抗する力なんてないというのに。

 まぁ僕を信用していないということだろうけど。


「それで?依頼内容は何?」


「修学旅行」


「ん?」


「国立国防大学に修学旅行があるのは知っているな」


「あぁ。うん。それがどうしたの?」


「今回の目的地が和の国に決まった」


 あぁ。ゲームにもそんなイベントがあった……な?え?もしかして僕はメインイベントに巻き込まれる。

 ……え?面倒……。

 結構面倒な話だったはずだ……。


「……水の聖女の出身地、だね」


「あぁそうだ。だが、今和の国では不穏な動きがあるらしい。万が一のため、聖女、勇者。第二王女の護衛を頼みたい。ガンジスは動けないからな」


「……うん」


「そして、出来るようならば和の国の問題を解決し、恩を売ってこい」


「……それを吸血鬼、殺す気満々の相手に頼む?」


「あぁ、安心しろ。こちらからも暗部は送る。それにお前は人類に対して好意は抱いておらぬようだが、人類の守護を目的としているのは本当のようだからな。ちゃんと依頼を成功してくれると信じているよ」


「……都合がいいなぁ。じゃあ僕を殺そうとしないでほしいんだけど」


「だが、お前が人類に好意を抱いていないのもまた事実であろう?それに本気ではない。それだけで十分であろう?」


「まぁ、そうだけどね。はぁー。わかったよ。ちゃんと依頼はこなすよ。じゃあ僕は行くね」


「うむ」

 

 僕はサクッとこの場から離れた。









 あとがき?

 なんかレビューで書かれた疑問に答える。

 本気のアウゼス対ガンジスなら、ガンジスの圧勝。あくまでアウゼスは100分の1の力しか出さないガンジスに勝っただけ。

 書き忘れてたけど、勇者たちはアウゼスが吸血鬼であることを忘れている。今書いたからセーフ!!!

 マリアだけならず聖女たちのモブ化をなんとかしたい。絡みを増やせるように頑張る。

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