第16話

 ルトとガクの戦いが終わった後はマリアの番である。


 マリアの対戦相手は大柄な大男、マルズ。

 ガチガチに防御を固めているような人間であった。

 一対一の対面での近距離戦。そして、相手はガチガチに防御を固めたような男性。

 相性としては最悪だった。

 

「それでは、模擬戦。はじめ!」

 

 そんな二人の対戦が始まる。

 マリアは急いで距離を取り、幾つもの魔法を発動する。

 視界をすべて覆うような紅蓮が光り輝く中、マルズは突撃を敢行する。

 結界と高い防御力に阻まれて思うようにマリアの魔法によるダメージが入っていかない。


「ぬぅん!」

 

 マルズはタンクタイプであり、足はさほど早くはない。

 マリアでも余裕を持って逃げることが出来た。

 しかし、マルズもずっとマリアに丸焼きにしているだけではない。


「……ッ!?」

 

 マルズだって魔法くらい使用出来る。

 どうやらマルズが使用するのは土魔法のようだった。

 地面を泥沼にしたり、壁を作ったりしてマリアが逃げられないようにちょっとずつ包囲網を構築していく。


 マリアは必死に包囲網が構築されないように立ち回りながらマルズに向かって魔法を放ち続ける。

 

 先にマリアがマルズを倒し切れるか。

 先にマルズがマリアを追い詰めるか。

 

 その戦い。

 

「キャ!」

 

 その戦いに勝利したのはマルズであった。

 土の壁で上手く包囲網を作り、マリアを逃げられないようにしてから突進して、マリアのことを吹き飛ばした。

 防御が高くないマリアはこれだけで気絶してしまう。


「勝者、マルズ!」

 

 勝者が決まった。

 まぁ、不利対面の中、マリアは頑張っただろう。

 次は僕の番だ。

 ……ふふふ。クラスメートたちに少し簡単な教育を施してあげよう。

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