第9話
僕以外のクラスメート全員が初めて乗る飛行船。
初めて見る空から見れる景色にみんなが盛り上がっている。ワイワイガヤガヤと。
僕のクラスメートたちは空を飛べない人がほとんど。初めて見る上からの景色はさぞ気持ちが良いだろう。
僕が初めて空を飛んだときも感動したような気がする。
そんな中、僕とパルちゃんは一つのテーブルを挟んで二人。向き合って座っていっる。
「はい。これでチェックメイト」
僕は自分の駒を動かし、パルちゃんのキングに刃を向ける。
「あぁ〜!!!また負けましたー!!!」
僕は騒いでいる人たちを尻目にパルちゃんとチェスをして遊んでいたのだ。
前世で僕が一番ハマったチェス。
それはこの世界にもちゃんと存在していた。ちょっとだけルールは違うけど、大体のルールは同じだ。
チェスがこの世界にあることを知った当時の僕はかなり喜んだものだ。
まぁチェスの起源を遡ると紀元前である古代インドのチャトランガにたどり着いているので、この世界にも合って当然のものだが。
「どうする?まだハンデつける?」
「……つけてほしいです……」
「はいはーい」
僕は元々つけていたハンデにさらにハンデをプラスする。
……もう一気に大胆に行くか。
「え!?」
パルちゃんは盤を見て驚愕の声を上げる。
「キングだけですか!?」
「うん」
僕はパルちゃんの言葉に頷く。
僕の駒はキングだけだった。
もうこれくらいにしないとパルちゃんは勝てないかもしれない。
「流石に舐め過ぎですよ!」
「そう思うのならちゃんと僕に勝ってね?」
「はいです!当然ですよ!流石に負けたりなんかしませんよ!」
■■■■■
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
パルちゃんが机に顔をうつ伏せて叫ぶ。
パルちゃん史上一番大きな声だった。当社調べで。
「負けましたぁ」」
「……負けたね」
「はいですぅー」
パルちゃんは持ち駒がキングしかない僕に負けた。ボッコボッコにされて。
……ちょっと手加減したほうが良かったかもしれない……。
「何をやっているのあなた達」
僕たちがチェスを楽しんでいたところ、離れたところで景色を楽しんでいたニーナとガンクスが僕たちの方に近づいてくる。
「普通にびっくりよ?」
「今までで一番大きなパルシアの声が聞こえてきて驚いたぞ……」
確かにパルちゃんのあんなに大きな声を聞いたら驚きだよね。僕も驚いたし。
「せっかくの飛行船なのに景色を眺めないなんてもったいないわよ?こんな経験なかなか出来ることじゃないんだしね」
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