第18話
修学旅行二日目。
道場を出た僕らは、ニーナとガンクスがもうバテバテだったので、残りの自由時間はのんびりまったりち過ごしていた。
五重塔とか庭園とかいろんなもの観光地を見て回り、和の国のいろんなものを食べた。茶碗蒸しが美味しかった。
今日の夜ご飯は天ぷらで、みんなでまったりと食べてゆっくりと過ごした。
それでもニーナとガンクスは疲れ切っているようで、夜。
ぐっすりと眠っていた。
パルちゃんも今日、特に動いたわけじゃないけどぐっすりだ。
まぁ、パルちゃんはいつも寝るのが早くて、ぐっすりなんだけど。
「ふわぁー」
大きなあくびを一つ。
僕らが泊まっている宿屋の窓。
僕は吸血鬼の力を封じた人間スペックの状態で宿屋の窓から夜の町を眺めていた。
暗躍の夜を。反乱の夜を。
「……何が、起こるのです?」
「ん?」
いつの間にか起きていたパルちゃんが僕のもとに来て話しかけてくる。
「大丈夫だよ」
僕はパルちゃんの頭を撫で、自分の膝に寝かしてやる。
「寝てて良いよ。僕が守ってあげるから」
「……ん」
パルちゃんは僕に頭を撫でられ、静かに瞳を閉じた。
「すぅすぅ」
僕の膝の上で寝息をたてるパルちゃんの頭を撫でる。
窓の外に見えるのは縦横無尽に駆け巡る侍や忍者たち。
おそらく陰でバチバチやっていることだろう。
おそらくパルちゃんは戦いの気配を敏感に察知したのだろう。パルちゃんは平民、貧民、どちらかと言うとスラム寄りのところで育っている女の子である。
人間の危険、戦い、殺意には敏感なのだろう。
「……ルトたちはどう動いているのだろうか」
僕は同じく修学旅行でここにいる勇者たち御一行のことを考える。
勇者たち一行の動き方でこのイベントのルートが変わる。
まぁでも反乱は成功するだろうな。
流石に勇者たちが一発で反乱鎮圧ルートを選べるとは思わない。
……別に。
別にこんな辺境でどれだけ人が死のうと構わないけど。
「すぅすぅ」
僕は規則正しい寝息をたて、気持ちよさそうに寝ているパルちゃんに視線を送る。
この子たちくらいは守ってあげたいよね。
僕は柄にもないことを思いながら、彼女たちに危害を加える人がいてもすぐに対応できるように監視を続けた。
■■■■■
すべてを覆い隠す夜は終幕を迎えようとしていて、すべてを照らす太陽が昇ってきている。
反乱は終わる。
夜に隠された反乱は。
ドタドタ
下から人々の足音が聞こえてくる。
反乱を引き起こした武士たちの勝利で幕を下ろした。
狂乱の、血なまぐさい内乱の時代が始まる。
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