第42話
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええ!!!」
リリネが僕の顔を見て驚愕の声を上げる。
「な、な、な!なんでアウゼスくんがいるでござるかッ!?」
「色々あって」
僕は無表情のまま言葉を続ける。
アウゼスは基本的に無表情だ。僕の素だからね。演技しなくていいのは少し楽だ。
「フラフラしていたら飛行船に置いていかれた」
「置いていかれたでござるかッ!?」
僕の言葉にこれ以上無いくらいにリリネは驚く。
「し、信じられないでござる……」
「そう?」
「そうでござるよ……。それ、で、そのなんで義賊なんかやっていたでござるか?」
「いや、毎日を生きていくにはお金が必要じゃん?」」
「だからと言ってお金を奪うのは……私を頼ってくれればいつでも力になったでござるのに……」
「いいじゃん。許してよ。ちゃんと理由があったんだから。ほとんど僕のポケットマネーにしてなんかないんだから」
「え?」
僕の言葉にリリネが驚きの表情を浮かべる。
「さっきは……」
「ん?あれは悪の義賊ムーブだよ。かっこよかったでしょ?」
僕はリリネの言葉に少し食い気味で答える。
「……私はアウゼスくんのキャラが読めないでござるよ……そんなことを無表情で言われても困るでござるよ」
リリネは肩を落としながら話す。
「それででござるが、理由とはなんだったでござるか?」
「ん?あぁ、中立を表明し、即時内戦の終結を行うように行動している罅隙様を支援している浅池家の支援だよ。僕はあの人にお金を流しているんだ。自由に使える裏のお金をね」
お金の流れというのは存外つかみやすい。
ときには、足のつかない裏のお金が必要になるときもあるのだ。
「……ッ!」
リリネは僕の言葉を聞いて言葉を詰まらせる。
「別に」
そんなリリネに僕は優しく声をかける。
「別に僕は君を責めるつもりもないよ。君は君の正義。君の思いによって動いたように。僕も僕の思うことを、正しいことをやろうとしただけのこと。協力を求めたりなんかしないよ」
「わ、私は────ッ!」
表情を引きつらせ、迷うように言葉をなんと漏らそうとしているリリネの頭をポンポンと叩く。
「大丈夫。訳を聞いたりなんかしないから。君の事情に踏み込めるほど僕たちの仲は深くないからね」
「そ、それは」
「そんなことより観光だよ。僕はまだまだ遊び足りないからね。大好きな和の国の素敵なこと、面白いことをちゃんとガイドしてね?」
「……わかったでござる」
リリネは僕の言葉に頷いた。
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