第11話

 学園長のクソ長い話が終わってからの入学式の進行はそれはまぁびっくりするくらい早かった。

 他の先生からサクッと学園内の立ち入り禁止の場所とか禁止事項などの説明をパッパと終わらせ、その後教会のトップ、教皇が賛辞の言葉を新入生に送って入学式は終わった。

 ちなみに、教皇の言葉は30秒程度で終わった。

 教皇ちゃんは短すぎな?

 僕は教会陣営の人間から熱烈すぎる視線を受けながら大聖堂から堂々と退場した。

 

 ■■■■■

 

「ゴールドクラス、か」

 

 僕は大聖堂を出てすぐのところに置かれた掲示板を見て小さくつぶやく。

 掲示板に書かれているのは各生徒のクラス配置だ。

 国立国防学園には生徒たちの能力に応じてのクラスに分配される。

 一番上のクラスがプラチナクラス。二番目がゴールドクラス。三番目がシルバークラス。四番目がブロンズクラス。五番目がアイアンクラス。六番目がストーンクラス。七番目がウッドクラス。8番目がⅢクラス。9番目がⅡクラス。10番目がⅠクラスだ。

 ゲームの主人公たち勇者と聖女ら御一行はプラチナクラス。

 僕のゴールドクラスの一つ上である。

 ……こんなことになるのならば強さなんて隠さず普通に強キャラムーブかましてプラチナクラスに行けばよかった。

 これもすべてゲームの中のアウゼスがプラチナクラスにいなかったせいだ!理不尽な怒りを心のなかでぶつけつつ、人が多い掲示板の前から距離を置く。

 ……うーん。どうしようか。

 まぁ普通に暮らしていればいいかな。主人公たちサイドとは関わらず、陰でこそこそ何か危険が迫ったときに助けてあげることにしようか。

 多分それが一番いいよね。

 僕は血の一部を霧へと変えて辺りに撒き散らした。

 王都全土を包み込むように。

 これならば主人公たちが王都内ならどこにいても把握できるし、サポートも出来る。目に見えない霧レベルの血でも十分な強さを持っているのだよ。

 僕レベルの吸血鬼ともなれば。


「よぉ、化け物ぉ。元気にしとぉるか?」

 

「あ、ごめんなさい。今急いでいるんで」

 

 いきなりか弱いショタに話しかけてきた怪しげなおじさんの横を通り過ぎる。


「その対応はないんじゃないか?えぇ?化け物風情が」


 そんな僕をおじさん、ノーヌス教会異端審問官第一席ガンジスが呼び止める。

 

「人間風情がやかましいよ。こんなところでは戦えないだろ?さっさと帰れ。僕は元気にここで暮らしていくからさ」


 僕は背を向けて歩き始める。

 僕に投げつけられた銀の剣を弾き飛ばして。

 あのさ、僕に話しかけてくるなら周りの認識を変化させるぐらいのことはしてよ。僕がこの場にいる全員に幻覚を見せることになったんだけど?

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