第12話

「おぉぉぉ!すごいです!初めて海外に来ました!」


「これは……新鮮で楽しいわね」


「あぁ、そうだな」

 

 三人が感嘆の声を漏らす。

 三人だけじゃない。来る前は不満たらたらだったクラスメート全員、p感嘆の声を漏らしていた。

 極東の島国。

 大陸から離れ、かなり長い間大国との交流がなかったことによって独自の文化が進化した国。


 和の国 皇都京都

 

 石畳の歩道に木造建築の建物が立ち並ぶ。

 石畳の歩道は赤いもみじの葉っぱに覆われ、天然のレッドカーペットを作り出していた。

 なんというか……すごく懐かしい気分になる。

 僕、京都の病院に長い間入院していたんだよなぁー。


「すごい……珍しい格好しているわね」

 

 ニーナが町を歩く人の格好を見て呟く。

 ここ、和の国はもうまんま日本だ。日本そのもの。京都とか完全に日本。

 だからこそ、ここの服装はすべて着物。

 大陸の方ではまず見ることのない着物を日常的に着ている。クラスのみんなかしても、僕からしてもこんなに和服を着ている人が町を歩いているというのはとても新鮮なものがある。


「はーい、注目」

 

 マリア先生が声を張り上げる。

 ワイワイガヤガヤしていたクラスメートたちはみんな黙り、視線がマリア先生に集まる。……統率取れ過ぎでは?もっと学生って黙るのに時間かからない?


「えーと。これからはみんなの自由時間!だけど、行く前に言った注意事項を守ってね?守らなかったら、拳、肩に入れるわよ?」

 

 ……拳を肩に入れるって何?

 どんな言葉?


『はい!』

 

 僕以外のクラス全員が声を合わせ焦れったいて大きな声で返事をする。


「じゃあ自由時間よ!散りなさい!ちゃんと時間通りに宿には戻ってくることね!」

 

『はい!』

 

 先生の言葉とともに、みんなが各々好きなように歩き始める。


「どうする?」

 

 僕はさっきそこで買ってきた団子を食べながら他の三人に聞く。


「え?何食べているの?」

 

 ニーナが僕の手に握られた団子を見て疑問の声を上げる。


「ん?買った」


「いつの間に!?」

 

 ニーナが僕の言葉に驚きの表情を見せる。


「私も食べたいです!どこに売っていますか?」


「ん?そこのお店。パルちゃんの分も買ってあげるよ」


「え!?本当ですか!」

 

 パルちゃんが輝いた目で僕の方を見てくる。


「うん。良いよー。買いに行こうかー」

 

「はいです!」


「私も食べたいから行くわ」

 

 団子屋さんに向かった僕とパルちゃんの後をニーナとガンクスもついてくる。

 僕たちのグループは一番最初にすっごく近くの団子屋さんに行くことに決まった。




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