第35話
崩れゆく。
ボロボロと。
「あ、あぁぁぁぁぁぁああああああああ」
レッサーヴァンパイアはその身をボロボロと崩れさせる。
心臓を失ったは吸血鬼は灰となって体を崩れさせるのだ。
あとに残るのは血の結晶だけ。
「ナイスだ!アウゼス!」
ルトが僕に笑顔を浮かべて近づいてくる
「ふふふ、ちゃんと勝てるって言ったでしょ?」
まぁ、僕が吸血鬼の力を使わなければ負けていたような気もするけど。
「さすがね!」
マリアお姉ちゃんも僕の方に近づいてくる。
それにしてもレッサーヴァンパイアごときが触手を使ってくるとは思わなかった。
あれ未だに僕も使えないような結構な強さと習得難易度を持っている能力なのに。
「ん」
僕は落ちているレッサーヴァンパイアの残した血の結晶を拾う。
……。
…………。
あぁ。なるほどね。
「さて、もうギルドの依頼は十分だよね!」
「いや、あぁ。うん。そうだな」
「十分すぎるくらいよね。というかヴァンパイアを倒したとか規格外すぎるわ。レッサーヴァンパイアとか本来一流の冒険者でもない限り倒せないような化け物じゃない」
そうなのだ。
レッサーヴァンパイアは強いのだ。吸血鬼は強いのだ。
めちゃくちゃ強いのだ。
レッサーでさえ一流の冒険者でないと倒せず、普通のヴァンパイアともなると、一つの国で対処しなくてはいけないと呼ばれているほど強いのだ。
それをヴァンパイアどころか、更にそれよりも強いエルダーヴァンパイアを本気も出さずに圧勝できるあのガンジスが頭おかしいのだ。
異端審問官共も。
「まぁとりあえずギルドに戻ろっか」
「そうしましょ!……よっこいしょ」
「はい?」
「ギリギリ」
僕はマリアお姉ちゃんに抱きかかえられる。
え?なんで?
なんで僕はマリアお姉ちゃんに抱きかかえられているの?なんで?
「さぁ!帰りましょ!」
「なんで僕は抱きかかえられているの?」
「え?」
……え?なんでこいつ何を言っているの?という目で僕のことを見てくるの?
「じゃあ行きましょ」
え?マリアお姉ちゃん?
■■■■■
結局ギルドまで僕は連れていかれることになった。
が、ギルドについた途端僕は逃げ出した。
すでにルトには血の結晶を渡してある。おそらくギルドの方にレッサーヴァンパイアを倒した証である血の結晶を提出したら、とんでもない大騒ぎになるだろう。
僕はラノベのなにかやっちゃいました?展開を望んでいるわけではない。
急用もあるので僕はさっさと逃げ出してもらったのだ。
「はえー、悪趣味やなー」
僕はきんきら金の建物を歩き、とんでもなく高そうな扉を開ける。
「やぁやぁお久しぶりだね?」
「そうだな。我が同族よ」
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