第26話
和の国の内乱。
それは次第に激化していく。していってしまった。
戦いは皇都京都と御大護天皇が逃げた先、第二の皇都吉野、この2つの戦いだけではなくなっていく。
各地の諸大名たちは、手宮愛鷹の傀儡である孔明天皇派と、御大護天皇派に分かれ、争うようになっていく。
そして、各地の諸大名たちはこれを利用し、他の大名を潰し自分の領地を増やしたり、気に入らない大名を潰したり、その戦いはどんどん勢いを増していった。
そんな地獄の内乱に片足を突っ込んでいる中、僕が楽しくお散歩していた。
戦いは、京都と吉野の近くだけでなく、全国各地で行われるようになっていた。
「曲者ッ!曲者ッ!」
「早く増援をッ!」
「噂の義賊だッ!早くしろッ!すでに金銀が奪われているッ!」
「急げぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!!!」
数多の絶叫。
侍たちの叫び声が響き渡る。
「ふんふんふーん」
今宵は夜の世界。
満月が雲に隠れ、闇に閉ざされた世界。
そんな夜に僕はアクロバティックな動きで建物の屋根を走っていた。
自分の手に握られている金銀財宝をバラ撒きながら。
夜なのにも関わらず眠らず、炎を炊いて一生懸命天に手を伸ばしている人たち。
「義賊様ぁ!」
「金だ金だ金だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
「手を離しやがれッ!こいつは俺のもんだッ!」
「ほざけぇ!これは俺のもんだッ!お前が離しやがてってんだッ!!!」
醜い争い。
下で喚いている民衆や、僕のことを一生懸命に追いかけてくる侍たちを置き去りにし、僕は闇夜に消えていった。
■■■■■
「大量大量」
僕は机の上に大量の金銀財宝をぶちまける。
民衆たちに配った分。それは盗んだ量の半分にも満たなかった。
義賊。
僕はこの内乱の中、義賊として活動していた。
金を持っている悪徳商人、大名からお金を盗み、民衆にバラ撒き、僕の懐をふくらます。
力あるものの力を削ぎ、民衆たちに力をもたせることで、罅隙の作戦の成功率をあげようとしていた。
彼らがこれ以上争いなんて出来ないようにね。
「うーん。ここももう潮時かなぁー」
僕がここで義賊として活動してそろそろ一週間。
毎日盗みに入り、結構な額を奪っている。
流石にこれ以上はもう盗めないだろう。
「うーん。次の標的は誰にしようかなぁー」
自分で一から作った地図を広げ、次の標的をどいつにするか考える。
「良し!君に決めた!」
僕はこの隠れ家にあるものすべてを収納し、次なる目的地のために行動を開始した。
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