第42話
「くっ」
次々と僕に向かって振るわれる禍々しい腕の攻撃を裂け続ける。
禍々しい腕の速さは尋常じゃなく、その姿をほとんど捉えられない。
しかし、僕は経験と感を頼りになんとか戦い続けていた。
「あぁ。流石はアンゲルス様。あぁ、神の祝福があなたを救っているのですね」
「ぐっ」
動く度に最初に攻撃を受けたときに受けた傷が疼き、激痛を走らせる。
「あぁ……」
そんな僕を差し置いてアルミデウス大司教は一人で語り続けている。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!妬ましいッ!あなたの祝福がッ!神の祝福がッ!祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝福祝祝福祝福祝福祝福祝福祝」
アルミデウス大司教はブリッジしながら狂ったように叫び続ける。
「クソがッ……気持ち悪いんだよ……」
毒づきながら僕は禍々しい腕の攻撃を裂け続ける。
さっきから攻撃出来そうなタイミングで攻撃を仕掛けているのだけど、全然刃が禍々しい腕に通らないのだ。薄く斬りつけて終わってしまう。
そして、そんな薄い傷なんて禍々しい腕の持っている再生能力によって一瞬で治ってしまう。
普通に詰みである。
それでも諦めるわけにはいかない。
「……すぅ」
意識の外へとアルミデウス大司教を追いやり、禍々しい腕へと意識を集中させる。
禍々しい腕の動き方には一定の規則が存在している……フェイントなどは入ってこない。
人間が吸血鬼の力を振るうのだ。当然のことだ。制御するので手一杯でそれを上手く用いることなど出来ないだろう。
「ふー」
避けることにだけ注力していれば何も問題はない。
禍々しい腕の動きなど手にとるようにわかった。
「あぁ……忌々しい忌々しい忌々しいッ!あぁ妬ましいッ!あなたに神の裁きをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「危ないッ!」
アルミデウス大司教の狂言だけなら無視する。しかし、サーシャの一言を無視する事はできない。
「え?」
僕が禍々しい腕から少しだけ意識を裂こうとしたその瞬間。横から強い衝撃を受けて吹き飛ばされる。
攻撃してきたのは禍々しい腕なんかじゃない。
僕の視界に一瞬入ったのは触手の化け物。
タコ足の化け物……いや、それよりも遥かに恐ろしい化け物。そんな化け物から伸びる触手によって僕は攻撃を受けたのだ。
「……あ」
目の前。
いつの前にか僕の目の前に現れた禍々しい腕によってあっさりとはたき落とされた。
「ぐはっ」
「アウゼス君ッ!!!」
僕の体が地面へと叩きつけられ、一度、二度宙を舞い、地面へと転がった。
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