第58話
僕はなにもないところから拳銃を取り出し、ガンジスに向ける。
ダンッダンッダンッダンッ
弾丸は平然とガンジスの剣で防がれる。
僕の血で出来た特製な弾丸はガンジスの剣を貫く事もできなかった。
全く。この世界なら産業革命が起こっても戦争の様子は変わらないだろうね!この世界アンデッド強すぎてアンデッド対処で手一杯で、人間同士で争う余裕なんて無くて戦争なんて起きたこと無いけど!
「ラァ!」
ガンジスから投げつけられる剣も、振られる剣も、全て避けていく。
ここは僕の世界。僕だけの世界。
異物の行動はすべて僕の手のひらの上。どういうふうに動くか、手を取るようにわかった。
まぁわかったからと言って避けれるかどうかは怪しいところだけどね。
『転雷神』で自由自在にその場を飛び回っているのに、平然と僕に追いついてくるし。
「えぇい!」
僕はガンジスの攻撃を自身の体を霧にすることで回避する。
霧化。霧状になってて軽くなった血はそのまま吸血鬼に吸血されてしまうので、吸血鬼相手には使えない技ではあるが、人間が相手の場合は無類の強さを発揮する。
人間が霧化を破る方法など無きに等しいのだ。吸血鬼が霧となっていられる時間何も出来ず、そのままサンドバックになるしかない。
「ブラッドレイ」
僕の体を構成していた血の霧は光線となってガンジスを襲いかかる。
「効かぬッ!」
ブラッドレイ。吸血鬼であればレッサーでも使える初歩中の初歩の攻撃にして、吸血鬼の血を用いた攻撃の中では最強の攻撃。
血の濃度が濃ければ濃いほど強くなる技。特別な吸血鬼であり、エルダーヴァンパイアにまで匹敵する血の濃さを持ち、普通のヴァンパイアごときであれば一撃で心臓を貫けれる攻撃をガンジスは無傷で受け切る。
「ふん!」
そして圧倒的なまでの聖の力を込めた銀の剣を豪快に一振り。
血の霧となっている僕は再び集まり再生するのが不可能なレベルにまで吹き飛ばされる。
血の霧となり、軽くなっているとはいえ再生するのが不可能なレベルにまで血の霧を吹き飛ばすなど人間業じゃない。血の霧だってちゃんとそこそこの重量を持っているし、吸血鬼の持つ血の操作能力によりその場に留まろうとする力だって働いているのだ。
それを一撃で吹き飛ばすとか意味不明すぎて困惑する。
まぁともかく。
僕は死んだ。
「ふぅー」
ガンジスの前で再び僕は再生を始める。
「……やはり一度ではすまぬか……」
「あ、あはは。一体僕が幾つの命を吸っていると思うの?」
僕は余裕ぶって言葉を返す。
そんな僕の額に冷や汗が流れた。
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