第57話

「はぁー。教会から僕を殺すことは許可されていないはずだけど?」


 僕は一応伝える。

 

「それでもッ!それでもお前は倒さねばならない。倒さねばならないのだよ。黄昏の吸血鬼。最悪のヴァンパイア。ここで倒さねば。倒さねば大変なことになるッ!」

 

 ガンジスは剣を構える。祝福がたっぷりと込められた銀の剣を。

 絶対的な殺意を持って。


「ふー」

 

 僕はゆっくりと息を吐く。

 なるほど。結局こいつと戦うことになるのね。こいつとは一生戦いたくなかった。

 僕は自分に架しているすべての枷を開放する。ユニークスキル【欺虚者】で抑圧していた人々の意思を、魂を開放する。

 自分という存在が押し流れる感覚とともに感覚が鋭く尖っていく。

 本来ならば本気でなんてやりたくなんてないのだけど、ガンジスを前に本気を出さないのは命取りだ。


「ステータス」

 

 僕は久しぶりにステータス画面を開く。


 名前:アウゼス

 年齢:12歳

 種族:ヴァンパイア      

 属性:雷・闇

 加護:【武神の加護】【魔神の加護】【創造神の加護】【豊穣神の加護】

    【生命神の加護】【死神の加護】【混沌神の加護】

 称号:【天賦の才】【神々の子】【生者の冒涜を侵し者】【死者の王】

    【黄昏の吸血鬼】


 レベル    342

 HP     269900              

 攻撃力    28020

 防御力    9992

 魔力熟知   1842

 魔力耐性   1842

 魔力回復   2062


 種族スキル:【吸血】【無限再生】

 固有スキル:【成長促進】【異空間支配】

 血鬼能力:【???】【身体能力向上】【束縛血界】【呑血倍化】【創造血装】

 ユニークスキル:【欺虚者】【血喰者】

 エクストラスキル:【総合格闘術】【無詠唱】【言語理解】

 スキル:【覇気:MAX】【鑑定:MAX】【魔力感知:MAX】【気配感知:MAX】【敵意感知:MAX】

 耐性:【即死無効】【魔法耐性】【熱変動耐性】【物理耐性】【状態異常耐性】【精神攻撃無効】

 

 ギンザラの血鬼能力はやっぱり【身体能力向上】だったか。一番ありふれている血鬼能力でエルダーヴァンパイアにまで至るのは素直にすごいな。

 ちなみに血鬼能力は吸血鬼がヴァンパイアになったときの手に入れる力のことである。能力が結構被ることも多く、ほとんどのヴァンパイアの血鬼能力は【身体能力向上】だ。後、僕の血鬼能力が何なのかはよくわからない。


「ふー」

 

 僕は血の息を吐く。

 僕に吸われた人間の怨念は、アンデッドの怨念は血の霧となり天へと昇る。

 空は赤く。赤く染まっていく。

 

 空は黄昏のように赤く染まっていく。

 

 ここは僕の世界。


「行くぞォ!黄昏の吸血鬼ィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイ!!!」

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