第55話
「ほざけ!」
僕の強気の発言を否定するようにいきなり突撃してきたギンザラを蹴り飛ばす。
ギンザラはあっさりと壁に叩きつけられる。
僕だってギンザラと同じ能力を持っているのだ。そんな無防備で突っ込んでくれば簡単に返り討ちにできる。
「ほっ」
そして足元から赤い触手が、槍のように鋭く尖った触手が伸びてくる。
初手でいきなり地中からの不意打ちとしか性格悪いよね!全く。
赤い触手が二つに別れ、僕に襲いかかってくる。
触手の数はどんどん増えていく。
それらの数は1000にも達する。
「ラァ!」
触手をかいくぐり、的確なタイミングで放ってくるギンザラの攻撃は盾で防ぐ。
一撃で壊されるが構わない。どうせいくらでも盾くらい出せるのだ。
ギンザラの攻撃は重く、強いがそれだけだ。当たらなけらば問題ない。
「ほらっ」
触手は1000をも越えてどんどんその数を増やしていき、町を破壊していく。その数も威力も脅威だが、なんとかさばききれる。僕は最低限の動きで回避し、どうしても回避出来ないものだけを銃で撃ち落とす。
これだけ。
たったのこれだけでいい。
「はっ!」
「『転雷神』」
決して逃さぬように一斉に僕に襲いかかる最早数えるのが馬鹿らしくなってくるような触手。
僕は転雷神を使ってその場から離れる。回避不可能な攻撃は転雷神で対処可能だ。
もう転雷神のマーキングの位置がバレるようなヘマはしない。
一度転移したマーキングはもう二度と転移しない。どうせこんなに広いのだ。いくらでもマーキングできる。
「くそぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!ちょこまかちょこまかと!」
ギンザラが忌々しそうに叫び声を上げる。
防衛戦は、生き残るための戦いは何度もしている。
逃げる。
この一点においてはすべての吸血鬼の頂点に立っているという自信がある。
「逃げてばかりでは勝てないぞぉ!」
ギンザラが見当違いの言葉を叫ぶ。
「くくく」
こいつは何を言っているのだろうか。
僕が二人に勝てるわけがないのに。
「なんで僕がお前らを倒さなきゃいけないんだ?」
意味がわからない。なんで僕がわざわざ二人を殺す必要があるんだ?
なんでそんなことに命をかける必要があるんだ?
僕がやる必要なんてない。
「僕がお前らを倒す必要なんて無い」
そう。だって。
「我々は神の剣。神々の剣。神々の代行者なり」
この国には
「化け物共を……不死者共を……殺す剣なり」
化け物を、不死者を、それらの存在を、絶対に許さない化け物がいるのだから。
ギンザラの首が宙を待った。
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