第29話

「ふふふ!ここが私たちの家なのです!」

 

 パルちゃんが胸を張って自身満々に告げる。

 ここは王都にある僕とパルちゃんの家だ。僕とパルちゃんはいつもここから学園に通っているのだ。寮からは締め出されたから。……まぁ、自主的に出ていった形ではあるけど。

  

 外から来た人間の大体は寮から締め出され、奴隷落ちする。

 才能があって優秀な人間だけが寮の宿屋代を免除され、生き残る事ができる。

 学園は才能あるやつを国の人間とし、才能無いやつを奴隷落ちさせる。


 ちなみに、僕とパルちゃんは有能だが、貴族たちが多く暮らしているゴールドクラスの寮はやっぱり居心地が悪かったのだ。


 一年生は良いのだ。ゴールドクラス内では僕が最強で、入学当初にやったゴールドクラストーナメント戦で戦って以来僕に対抗してくるジースくんは一度、ガチの殺気をぶつけてフルボッコにして、それに怒ったジースの実家も、僕のコネ、勇者並びに第二王女の力で脅した結果、一切反抗的な態度を取らなくなったので、安全だ。

 

「まぁ。立派な家ね」

 

 パルちゃんのお母さんが笑顔で告げる。

 まぁ国外酔街の家と比べればそうだろうね。この世界には魔法があるので、建築技術はそこそこ高い、スラム街であっても家はしっかりとしている。

 

「いつも二人で過ごしているのかしら?」


「まぁ……僕はほとんど外に出ているんですけどね」


 僕はパルちゃんのお母さんの言葉に返答する。

 

「冒険者としてお金を稼いでくれていますからね!」

 

 お金を稼ぐのは僕の仕事だ。

 冒険者として依頼を受けまくってお金をせっせと稼いでいる。


「……そうなのですか?」


「えぇ。はい。基本的にお金を稼ぐのは僕の仕事ですね。冒険者というのは案外稼げるものなのですよ。あと、これからは共に過ごすので敬語じゃなくても構いませんよ」

 

 最悪は王様からお金を貰えばいいからね。


「……えぇ。そうね。敬語は辞めさせてもらうわ。アウゼスくんも敬語じゃなくて良いわよ。それと、ありがとね。お金を稼いでもらって……」


「構わないよ。後、パルちゃんのお母さんも」


「私の名前はレクシアよ。呼び捨てで構わないわよ」


「そう。じゃあレクシアもお金の心配はしなくていいよ。僕が稼いでくるからね」


「……そうね……私に出来ることなんて少ないしね……ありがたく甘えさせてもらうわ」


「うん。甘えてくれて構わないよ」

 

 僕はレクシアに向けて頷いた。

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