第28話
国外酔街。
そこはもはや街と言って良いのかわからないような状況となってしまっていた。
国外酔街に来ていたお客、男性13名、女性14名が全滅。
そして、国外酔街に住んでいた男性45名、女性67名のうち、男性41名が死亡。女性34名死亡。生き残った女性33名のうち29名がタコ足の化け物に強姦され、子種を植え付けられている。
ちなみに彼女たちを僕の曇りなき吸血鬼アイで確認したところタコ足の化け物の子供は孕んでいなさそうだった。
気配が読めないから、霧状の血を女性たちの下の口からこっそりと入れていき、子宮の中をくまなく捜索したからおそらく間違いないと思う。
それに、子宮の中には血を待機させてあるので、もし仮に子供がいたとしても母体ごとタコ足の化け物の子供を僕の血が倒してくれるので問題はない。
「……それで?お前はどうするの?もうこの街はダメだと思うんだけど。他の国外酔街の街に送るとしても37名も受け入れてくれるとは思わないんだけど?」
僕はちらりと隣に立っているアーレスへと視線を送り、尋ねる。
「……奴隷にしようと思っている。お前なら知っているだろう?」
「まぁね」
僕はアーレスの言葉に頷く。
終焉騎士団は『アンデッドを殺す』騎士団だ。 別に人間を守る騎士団じゃない。アンデッドを殺すためならどんな非道なことでも一切のためらいも無く行えてしまうのが終焉騎士団の恐ろしいところだ。
終焉騎士団は囮や雑用などのためにかなりの量の奴隷を飼っている。
僕の奴隷経験。
短い間ではあるが、僕は終焉騎士団の奴隷として動いていた期間があるのだ。
「それで、なのだが……」
アーレスが心底言いにくそうに口を開く。
「パルシアのお母さんはお前が引き取ってくれないか?」
「え?」
僕はアーレスの申し出に驚愕する。
「お前が引き取るんじゃないのか?お前がパルちゃんのお母さんのことが好きなんじゃないの?別にお前のお供として連れていけば良いんじゃないのか?」
「……あぁ。そうだな。確かに俺はパルシアのお母さんに、あいつにずっと片思いをしている……。だが、俺にあいつを愛する資格はないだろう。……俺はあいつを置いて街を出て……何もしなかったのだから……」
「ふーん」
僕はアーレスの言葉に頷く。
愛するのに資格なんているのか?僕はすでに恋愛感情なんて持っていないからそこら辺はわからないのだけど。
「それに愛する女を最前線に立たせたくないだろう?……ふっ。まぁ俺が言えたことじゃないがな」
アーレスは自嘲するように笑いながら話す。
「じゃあ、うん。わかったよ。僕が引き取ってあげるよ」
僕はアーレスに向かってそう告げた。
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