第33話
「んじゃ、行くね?『アクセル』」
僕は一気に加速する。
レッサーヴァンパイアとの距離を一気に縮め、レッサーヴァンパイアの右腕を斬り飛ばす。
「雷精よ、我に力を『雷陣』」
右腕が再生しないよう断面に雷で覆う。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁああああああ」
レッサーヴァンパイアがうめき声を上げながら左腕を少し動かす。
僕がレッサーヴァンパイアの右腕を斬り飛ばしたことによって噴き出した血が霧になり、飛ばされた右腕は血となる。
「炎精よ、我に力を!神々よ!我に大いなる加護を!この世ならざるモノを滅す力を!『聖炎』」
マリアお姉ちゃんは吸血鬼の血を蒸発させる特別な炎を出現させるが、まだ未熟者であるマリアお姉ちゃん程度の炎では血をすべて蒸発させることが出来ない。
ほんの少し量が減ったかな?程度である。
「あぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ」
血の霧は幾つもの光線となって、血は一本の剣へと姿を変え、僕に襲いかかる。
「『デコイ』」
自分と全く同じ気配、体温を相手に感じさせる偽りの存在、身代わりを闇魔法で出し、僕は逃げる。
光線が身代わりを貫き、剣が身代わりの首を落とす。
「ふぅー」
僕はマリアお姉ちゃんたちがいる後方まで下がる。
「いきなり突っ込むアホがいるか!」
「えへへ。でも右腕は吹き飛ばせたよ?」
「だからって……!」
「僕一人でも右腕を飛ばせた。三人でなら心臓も穿てると思わない?」
「「……っ!」」
二人の表情が驚愕の色に染まる。
「余計なお世話だ!……助かる。うし!行くぞ!」
「うん」
「『アクセル』」 「『エンジン』」
僕は雷魔法で、ルトは炎魔法で自分の速度を加速させレッサーヴァンパイアの接敵する。
レッサーヴァンパイアは基本的に知恵を持たない。それ故になんども同じ手に嵌められる。
デコイで作った身代わりを盾にして相手の攻撃を避けながら僕らはレッサーヴァンパイアに攻撃を加えていく。
「あぁぁぁぁぁああああああ!!!」
レッサーヴァンパイアは攻撃に当たらない僕らに最早我慢できなくなったのか、咆哮を一つ。
そして自由自在に操っていた血の剣を自分自身に向け、左腕を切り落とす。
血が吹き出し、左腕が血の塊へと姿を変える。
レッサーヴァンパイアの元に血が集約する。
血の剣も血の霧もみな元の血液へと姿を戻し、集約する。
「あぁぁぁぁぁぁああああああああ」
集約していた血は触手へと姿を変える。
赤黒い幾十もの触手が蠢き、レッサーヴァンパイアを守るようにうねる。
「ラウンド2、かな?」
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