第45話
「な……な、ぜ」
「残念だったね。君は僕を殺せなかった」
……あぁ、実に残念だよ。ほんと。
「くっ……この、……化け物……がぁ」
心臓を貫かれたレクスはボロボロと体を崩していく。
血が、命が、魂が漏れ出していく。
レクスという存在を僕が実に美味しく頂く。
「……ァ」
そして、レクスという存在は完全に消えてなくなった。
……あれ?完全に喰いきれなかったな。何でだろうか?
─────しかった
まぁ、良いか。
欲しかった血鬼能力は手に入れることが出来たし。情報とかも一部は欠けているけどそこそこ得られた。
『血天宝庫』は自らの作り出すオリジナルの武器と既存の武器を重ね合わせて強化したりも出来る。
レクスは良い既存の武器を保有していなかったのか、この能力を使ってはいないようだったが、数多の英雄の再現することが出来る僕にとってこの能力は実にありがたい能力と言える。
ボトッ
空から僕の代わりにレクスの攻撃を受けた等身大のぬいぐるみが地面に落ちてくる。
僕の不意打ち。
何をしたか。それは実に簡単で、ユニークスキル『欺虚者』を使ったのだ。
等身大のぬいぐるみを僕だと、僕を飛ばした武器だと、認識を欺かせる。
それによってレクスに一切気づかれること無く僕はすぐ近くにまで行くことが出来たのだ。
恐怖で叫び、まともな状態ではなかったレクスだったからこそ僕のユニークスキルの効果を見破ることが出来なかったのだ。
おかげで僕は簡単にレクスを倒すことが出来た。
「エルダーヴァンパイアの討伐を確認。名称レクス。血鬼能力は『血天宝庫』」
異端審問官全員に渡される手帳を取り出し、筆を走らせる。
「異端審問完了」
僕は手帳を閉じ、異空間収納へと仕舞い直す。
「……ッ!?こ、これは……!?」
ちょうどその瞬間に地下一階の方からドワーフ王が出てくる。
……ふむ。なるほど。みんなはちゃんと二人の吸血鬼を討伐してくれたか。
僕が罅隙とギリアに渡した保険が発動しなかったことから、二人も無事だろう。
まぁ罅隙に特殊な武器も渡してあげたし、ギリアの思いも刺激されて『分霊』も発動するだろうと思っていたし、なんとかなると信じていたけどね。
後で二人から保険を回収しておくことにしよう。
「ふむ。あなたがドワーフ王ですかな?」
僕は驚愕しているドワーフ王のもとに向かう。
「どうも。お初お目にかかる、ドワーフ王。私は異端審問官第二席『特異』。どうかよろしく頼む」
僕はドワーフの文化ガン無視の、教会流のお辞儀とともに挨拶を行った。
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