第44話
僕に向かって飛んでくる数えるのも馬鹿らしくなってくるほどのたくさんの武器類。
「ほいさ」
それに向かって僕は記憶の中より再現した『英雄たち』の武器を飛ばして抵抗する。
空を覆い尽くさんがばかりの数多の武器たちがぶつかり合い、火花を散らせる。
「チッ!」
平然と武器の打ち合いについてくる僕に対してレクスは舌打ちする。
「……ふっ」
僕はレクスとの距離を詰め、刀を振るう。僕には『創造血装』によって作られた鎧があるのである程度無茶して距離を詰めても何も問題はない。
撃ち落としきれなかった武器が、僕にぶつかるもそれらは鎧に弾かれ効果を為さない。
レクスは僕から逃げるために必死に空を飛ぶ。僕はそんなレクスをひたすらに追いかける。
「面倒なッ!!!」
レクスは急直下。
地面の方に着地する。
「おぉ!!!」
レクスは土魔法を発動させ、僕に向かって飛ばしてくる。
「……ちっ」
もはやレクスは僕の飛ばす武器には目もくれない。
自分に致命傷を与えうる武器以外は大人しく食らい、僕を遠ざけ、僕に武器を当てるために心血を注ぐ。
面倒な……これでは近づけない。
……良し。
「ぐっ」
僕の腹を血の武器がかすめる。
それから、徐々に被弾する武器の数が増えていく。
「ハッハッハッハッ!!!死ね!死ね!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!怪物ッ!!!狂人ッ!!!」
レクスは狂ったように笑い、
「これがエルダーヴァンパイアの力よッ!!!貴様など恐るに足りずッ!!!」
レクスは自身を鼓舞するように叫び続ける。
「ラァッ!!!」
そして、とうとうレクスが生み出し放つ武器は僕の心臓を貫く。
「ふっ」
「ヒッ!」
心臓を貫かれ……そして、それでも口元に笑みを浮かべた僕にレクスは恐怖の表情を浮かべる。
「終わった!終わったのだッ!!!」
レクスは自身の恐怖から目を背けるように叫ぶ。
彼は、人間を吸ったことのある彼からしてみれば、幾度も人間を吸っている僕は理解できない怪物なのだろう。
理解し難い精神力と、人間を吸ったことによって手に入れた僕の力、強さ。
それらにレクスは誰よりも恐怖していたのだろう。
レクスは……その恐怖をごまかすように……だから僕は勝った。こいつに勝つことが出来た。
「うん。そうだね」
「は?」
レクスが動きを止め、呆然と呟く。
ユニークスキル『欺虚者』
レクスの心臓を僕の妖刀が貫く。
「終わりだよ」
どろりと血が垂れ、消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます