第19話
今日行われる授業は少し特殊だ。
今回の授業は一ヶ月に一回程度に行われるクエスト受注授業。
クエストとは街の人、政府から出される依頼のことを言い、本来ならば荒事が得意な冒険者などが担当する。
今回の授業はそのクエストの一部を社会経験の一つとして冒険者から託してもらうのだ。
国立国防学園の生徒数はあまりも膨大。Ⅲのクラスなど一クラスに300人以上いるのだ。なので、クエスト受注授業はプラチナクラスとゴールドクラスにのみ割り振られる。
それでもなお一年生のプラチナクラスとゴールドクラス合わせて60人ほどいるため、行われる日は分けられる。
今日はゴールドクラスの日であり、来週がプラチナクラスである。
僕達新入生が任されるのは『おつかい系』と呼ばれる簡単なクエスト。
僕らは4人一組のチームに分かれ、クエストを行うことになる。
僕らが受けたクエストは街の外れに住んでいる人の家に新鮮な食材や生活必需品を届けに行くというものだ。
「頑張るわよ!」
「あぁ」
「ふんすっ!」
僕のチームは最近一緒にいることの多いパルちゃんとニーナとガンクス。
今のパルちゃんは大きなバックを背負っている。
パルちゃんはカバンに収納魔法を付与するほうが得意らしい。
収納魔法には、カバンなどの入れ物に収納魔法を付与して容量を広げるものと、色々なものが収納可能な空間を作るものの2種類が存在する。
「じゃあ、行きましょうか!」
「私、王都から出るの初めてですっ!」
「あら?そうなの?じゃあ任せなさい!私がしっかりと守ってあげるわ!」
王都から出たこと無いのかパルちゃん。
「アウゼス。お前はこのクエストでなにか起きると思うか?」
僕の隣に立っているガンクスが僕に話しかけてくる。
「……どうだろうか?盗賊などもいるだろうけど、実際に遭う確率は低いだろうしね」
「そうか。では、俺も気を引き締めていかないとな」
ガンクスは静かに気合を入れる。
……別にそんなに気を張る必要はないだろうけどなぁ。
僕はちらりと後ろに視線を向ける。
そこに見えるのは姿を隠している先生の姿。
すべてのチームに何かあったときのために先生がついているのだろう。盗賊などに遭うことがあれば先生が助けてくれるだろう。
まぁそんなことを教える必要はないだろう。
わざわざやる気に水を差すようなことをする必要はないだろう。
やる気があることは良いことだしね。
「そうだね。一緒に頑張ろうね」
「あぁ」
僕もガンクスの言葉に同意し、刀を握った。
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