第8話

「ぐぅ」

 

 ドワーフ王は自身の足に刺さった刀を勢いよく抜き、放り投げた。

 そんな彼の足からは多くの血が流れている。


「いきなり不意打ちとは……」


「はんっ」

 

 僕はドワーフ王の言葉を鼻で笑う。


「あなたは殺し合いで対戦相手でそう告げるのか?どんなペンも剣には敵わないんだよ。正々堂々?そんなものは溝に捨てるべきだろう」


「カッカッカッカッ!!!」

 

 僕の言葉を聞いて、ドワーフ王は豪快に笑う。


「良く言うわい!全くもっとそのとおりである!」

 

 楽しそうに告げるドワーフ王。

 

「だがどうする?お前の武器は遠くだぞ?」


「問題ない『スパーク』」

 

 僕は特別な鉄の棒を取り出し、電気を流す。僕は速攻で電磁石を作り出した。

 魔法によって普通の電磁石とは性質を変えたお手制電磁石は僕の持っていた模擬刀を僕の元へと運んできた。

 模擬刀が通った後には、きらりと虹色に輝いた。


「ほぉー、便利なものよな。電磁石か?面白いことを再現しよる。ちゃんと戦えるようで安心したぞ!」


「……ちゃんと戦える?」

 

 僕はドワーフ王のその一言に首を傾げる。


「おう」


「ふぅー。すでに勝負は決まっている」


「ほう?」


「僕の勝利、という形でね」


「カッカッカッカッ!言いおるわい!なら試させてもらおうかッ!」

 

 ドワーフ王が勢いよく大地を蹴る。

 地面が大きく割れる。


 一歩目は地面を大きく割った。


「お?」


 二歩目は地面を大きく割らなかった。


「あ……?」


 三歩目は着地した足がよろけた。


「……な、に……が?」

 

 四歩目は足の裏の代わりに膝をついた。

 

 ドシン……

 

 少しの震えとともに、ドワーフ王の体は地面へと倒れた。


「勝ちだね」

 

 僕は模擬刀を払う。

 模擬刀から跳ねた液体が、地面を濡らした。


「毒を武器に塗っちゃいけないとはルールとして言われていない。僕の勝ちだ。あなたは僕をただのガキだと侮った。僕の戦い方を知らぬくせに平然と堂々と立っていた。王だがなんだかは知らないけど、その力故の慢心が原因であなたは敗北した。もう少し賢くなったほうがいい」

 

 僕はドワーフ王に向かってそう告げた。

 不敬でしかないこの言葉だが、ドワーフ相手ならばこの言葉が正しい。

 こんな感じで堂々と告げれば、どんな卑怯な手でも受け入れてくれる。それがドワーフたちだ。

 逆にここで僕が卑屈な態度を取れば、勝ちだとは認められないだろう。


「勝者!アウゼス!」

 

 審判は勝者の名前を告げる。


「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 大きな歓声が上がった。

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