骸骨は魅せられる
俺は今日も変わらず、素振りとラット狩りをしていた。
これは新しく発見したことなのだが、どうやら、取り外した骨は、他のスケルトンの骨を入れることで、体に馴染むことがわかった。
つまり、どういうことかというと、肋骨の骨を外して投げる。
そこらに落ちている肋骨の骨を拾い、外した場所へはめると、拾った白い骨が青く染まり、体の一部となるようだ。
投げたほうの青い肋骨は、時間が経っても色を変えず、その場に残る。
そしてもう一つ。どうやら、攻撃力と防御力が少しだけ高くなった。
そして今日も俺は、ラットを探しながら洞窟の中をうろついている
(夜には月を見に戻らなければな)
レベル上げや強くなることよりも、月を見ることのほうが俺の中では最優先事項なのだ
(お、ラットとはぐれゴブリンだ。)
洞窟内を探索していると、度々見かけるはぐれゴブリン。どうやらはぐれゴブリンは一定数いるようで、1匹で徘徊しているゴブリンは狩るようにしている
俺は静かにゴブリンの背後に回り、後ろから羽交い締めにし、口を押さえて喉笛を抉りとる。
ゴブリンの首は千切れ、地面に落ち、体からは力が抜け、絶命する。
(これは……棍棒?)
はぐれゴブリンが手に持っていた、木でできた棍棒
もしも剣が折れてしまったら、武器がなくなってしまう。丁度代わりになるものがないか探していたところだ
俺は、ゴブリンが巻いていた腰布を拝借し、腰布と恥骨の間に棍棒をさす。これで、武器に少しだけ余裕ができた。
(使い勝手を見ておかなければな……あのラットは棍棒で殺そう)
俺は近くにいるラットへ歩み寄る。
最近はラットを狩りすぎて、仲間を狩っているところを見られたのか、逃げるラットが多い。
俺は慌てることなくラットを追う
そして行き止まりへ逃げたところを、確認し、棍棒を振り下ろす。小さな体から、小さな臓物が顔を出す
特に使い勝手は悪くないが、死体が汚い。仕方のないことなのだろう
(ふむ。そろそろ夜だろうか)
俺は帰り道もラットを数匹狩りながら、いつもの大穴へと戻る。
(む?なんだあれは)
いつも月の光が当たる場所の中心に、それは置いてあった。箱のようだ。
「綺麗な……箱だ」
その箱には煌びやかな装飾が施され、その装飾が月の光に照らされ輝いている。留め具は金の色をしているが、その箱自体の色は黒で、その色の違いが、箱の美しさを際立たせていた。
埃や土など全くついていない状態で、その箱は置いてあった
モンスター同様ポップするものなのだろう。と、本能的に感じた
俺は、月を見上げながら不思議と思った。
(この箱は、月が俺に与えてくれたものなのだろう。感謝を……)
俺は月へ向かって謝辞を送り、その綺麗な箱を恐る恐る開いてみた。
箱の中には、一振りの剣が入っていた
黒い鞘には、その黒という美しさを邪魔しないような、金色に光る装飾が少しばかり施されており、柄は煌びやかな金色にほんの少しの黒い宝石のようなものが埋め込まれている
俺はその剣を箱から出し、剣を引き抜く
「……美しい」
刀身は透き通ったような青色で、俺はその輝きを見て言葉を失ってしまった。
今まで見た中で、月の次に美しいものだった。俺はその剣を掲げ、月と見比べる
真っ暗な空に浮かぶ、透き通るような青色の月の輝きを、剣に凝縮したように感じる
鞘は空、剣は月。目の前の光景が、俺の手の中にある
俺は月と剣を交互に見ながら、感嘆の声を思わず漏らしてしまう
「見事だ……」
その日見た月は、喜ぶ俺を微笑ましく見ているように見えた
★★★
ステータス
名前:
種族:ブルースケルトン
ランク:F
レベル:4/5
HP18/18
MP5/5
固有スキル
夜目
スキル
剣術Lv1
称号
月を見る魔物、月の女神の寵愛
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