骸骨は到着する

街道を歩き、街へ向かっている。

道行く行商人などに道を聞き、レベル上げをしながら突き進む。

ちなみに今のステータスはこんなものだ


名前:

種族:月ノ骸骨ルナ・スケルトン

ランク:E

レベル:18/20

HP125/125

MP80/80


固有スキル

月ノ眼

堅骨


スキル

剣術Lv2

火魔法Lv3

索敵Lv1

隠密Lv5


称号

月を見る魔物、月の女神の寵愛、忍び寄る恐怖


レベルとランクが上がるごとに、レベルアップは緩やかになるようだ。

獲物を探したり、隠れて近づくことによって、新しいスキルも手に入れることができた。

魔力循環とともに、獲物には魔法の練習も兼ねて放っているので、着々とスキルレベルは上がっている

エルフの外套と仮面、手袋にブーツのおかげで行商人に変に怪しまれず道も聞くことができている。


(お、見えてきたな)


目の前に教会と思われる建物が見えてきた。

今向かっている街は、【ボロガン】というところで、ハルナが住んでいたエルフの森から一番近い街らしい。


(ふむ、あと1日……と言ったところか)


ここから見えるのは、教会らしき建物のてっぺんのみ。まだ外壁やほかの建物は見えてこない


(あの教会はどれだけ大きいのだろうか)


少し歩くと、後ろから馬の走る音が聞こえてきた。俺は轢かれないように端によりながら街へ向けて歩き続ける


すると黒を基調とし、青や金で装飾された実に見事な馬車が横をすり抜けていく。

行商人のように荷車と馬といった簡素なものではなく、馬にも装飾が施されていた


(いい色合いだな。あれはあれで美しい)


走り過ぎた馬車を横目に、そんなことを考えていると、通り過ぎていた馬車が停車をした。御者と思われる人物がこちらに手を振っている。


「私に何か用か?」


「あなた様は、ボロガンに向かう途中ですか?」


「あぁ」


「それでしたら、私たちの馬車にお乗りになりませんか?歩くよりも早く着きますよ」


「ふむ。その申し出、実に嬉しく思う。が、私を乗せたところであなた達にメリットがないのでは?」


「ははは。メリットは確かにない……のですが、お嬢様が……」


「お嬢様?」


わたくしのことですよ」


馬車の中から、ドレスを着た娘が顔を出す。


「初めまして!私の名前は、リーン・フォルベス。ボロガンの街に向かっている途中で退屈なの。だから旅人さんのお話を聞きたいな。と思ってお誘いしたの」


「という……ことです」


御者の男が、苦笑いをしながらそう言った。

人間と話をするのは悪いことではない。

俺は馬車に乗ろうと思ったのだが……


「そういうことなら、こちらも嬉しい限りであるが、旅人の身、この美しい馬車を汚いブーツで汚してしまうのは心苦しいものがある。歩きながらでよろしければお話をしてあげたいのだが、どうだ?」


俺は右足をあげながらそう言った


「大丈夫!気にしないわ。さぁ、お乗りになって」


リーンが元気にそう言うと、御者が扉を開き、乗るように促してくる。俺は頰をかく仕草をしながら、会釈をし、中に入り席に座る


「さぁ出して頂戴。それで……あなたは……」


「俺のことは、骸骨さんとでも呼んでくれ。仲間からはそう呼ばれている」


「ふふ、それでは骸骨さん。あなたはどこからいらしたの?」


「ふむ。そうだな。俺は……」


そして俺は嘘を交えながら語り出す。バルバルというところから出てきて旅をし、モンスターと戦ったり、エルフと出会ったり。思えば、まだそこまで旅という旅をしていない気もする。


「まぁ!骸骨さんはエルフ様とお会いになったのね!」


「骸骨様はすごく貴重な体験をしていますね。私もできればエルフに会いたいです」


リーンも御者も、エルフの話には食いついてきた。

どうやらエルフというのはそれだけ珍しいらしい。街にもエルフはいるが、そのほとんどが奴隷というものらしい。

そして冒険者には、エルフや獣人などという亜人もいるのだとか

奴隷というものを知らなかった俺はどのようなものなのか聞いてみると、簡単にだが説明をしてくれた。

人間のすることとは思えない話を聞かされ、リーンは真剣で、でも悲しげな表情をして話をしてくれた


「今向かっているボロガンは、奴隷制度を導入しているのだけれど、ちゃんとした法で統治しているから今話した話よりかはひどくないのだけれど……」


「そうか。それはよかった」


「ところで、骸骨さんはフードをお脱ぎにならないのですか?」


「ふむ……モンスターと戦い続けて見るに堪えれぬような顔になってしまってな。傷がひどいといえばいいのだろうか……」


仮面をつけているとしても、後頭部はそのまま骸骨なのだ。見せられるはずがない。


「私は気にしないわ。骸骨さんのお顔が気になるの」


「リーン殿のような見目麗しい娘に見せれるようなものではない故。すまないな」


「お嬢様もそれぐらいにしてください。骸骨様がお困りになってしまいますよ」


御者の一言でリーンは「ぐぬぬ」と言って諦めた


「お嬢様、骸骨様、ボロガンの街が見えてきましたよ」


そう声がかかり窓から外を見てみる


外壁に囲まれた大きな街。

街に通じる門には多数の行商人が並んでいる

そして街の真ん中に悠然と聳える高い教会が見えている。

ここは、月の好きな俺にハルナが勧めてくれた街。無数の宗教とその大きな教会が観光スポットになっているという。聖都市、ボロガン


「ふむ…美しいな」

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