骸骨と鍛冶師
それから2週間が過ぎた。
Aランクダンジョンは全て回った。
だが、進展はない。
ゴーレムばかりを狩っていたおかげか、レベルと所持金だけが増えていく。
今の所持金は
銅貨22枚、銀貨32枚、金貨9枚、大金貨6枚
そしてロンドからもらった白金貨が1枚
しばらくは依頼をこなさなくても、十分生活ができる。
ステータスは
名前:ムルト
種族:
ランク:B
レベル:13/70
HP7250/7250
MP2600/2600
固有スキル
月読
凶剛骨
下位召喚
下位使役
魔力操作
変温
欲器(憤怒・怠惰)
火事場の馬鹿力
スキル
剣術Lv9→剣技Lv2
拳闘術Lv1→2
戦斧術Lv1
灼熱魔法Lv3
風魔法Lv6
水魔法Lv5
暗黒魔法Lv8
危険察知Lv8→9
隠密Lv10
身体強化Lv7→8
不意打ちLv6→8
カウンターLv4
称号
月を見る魔物、月の女神の寵愛、月の女神の祝福、月の使者、忍び寄る恐怖、心優しいモンスター、挑戦者、嫌われ者、人狼族のアイドル、暗殺者、大罪人、救済者、欲深き者
名前:ハルカ
種族:魔人族
レベル:64/100
HP9600/9600
MP9940/9940(+640)
固有スキル
鑑定眼
魔力操作
アイテムボックス
美食の徳(暴食・堅固)
スキル
杖術Lv5→7
経験値UPLv10
火魔法Lv3
聖天魔法Lv1
氷雪魔法Lv1
暗黒魔法Lv1
打撃耐性Lv2→5
状態異常耐性Lv3→6
遊泳Lv5→7
気配遮断Lv2 new
潜水Lv3→5
突進Lv2→5
邪眼Lv1
身体強化 new
器用Lv2 new
称号
転生者、転生神の加護、忌子、勇者の雛、超人
こうなっている。ハルカの成長が著しい。
経験値UPというスキルと、美食のおかげだ。ものを食べれば食べるほど、能力が身につくようだ。
「さて、今日はどうするか」
「ABCランクのダンジョンは回ってしまいましたしね」
「金にも困っていないからな。依頼もしなくていい」
「この2週間、特に新しい情報も、手がかりもありませんでしたしね」
「あぁ」
「次の街に行くっていうのはどうですか?」
「……それも悪くないかもしれないな」
泉を見れなかったのは痛いが、泉にこだわらず、次の絶景を探すのもいいかもしれない。
「そうだな。なら、今日はこの都市の絶景を探しにいこう」
「はい!」
★
俺たちはなんの依頼も受けず、都市の外に出ていた。散歩だ。
「とりあえず、どこにいこうか」
「高いところへ行きませんか?」
「高いところ?」
「はい!あの山の上まで!」
ハルカが指をさした。確かあの山は、Cランクダンジョンがあった山だ。
「あの山の頂上に行ったら、この辺り一面を見渡すことができると思います!きっと良い景色ですよ!」
「いいかもしれないな」
俺たちは登山することになった。
ひたすらに山を登る。俺もハルカも体力がある。疲れることなく山を登っていった。
少し遠回りをして、湖を見つけたり、小鳥の巣を眺めたりして、時間を潰しながら。
「ムルト様!見てください!この木!お猿さんみたいですね!」
太い枝が、変な方向へ曲がっている木だ
「猿?」
「はい!ほら!うっきー!って!」
ハルカは右腕を上に、左腕を下にして、腕を曲げて、うきー、と言った。
(確かマウンテンモンキーというモンスターがいたな)
まだ見たことはなかったが、ハルカの喜びようから、きっと温厚なモンスターなのだろう。
そんな馬鹿げた話をしながら、上へ上へと向かって行く。頂上につく頃には、辺りは暗くなっていた
「やっとつきましたね!」
「あぁ」
真っ暗な夜空に、月がいた。
この都市で見た月の、どれよりも綺麗で、大きかった。
「見ろハルカ、月だ」
「わかってますよ」
「綺麗だな」
「はい……」
ハルカは俺に近寄り、腕を絡ませる。
「これから、どこへ行きましょうか?」
「ヤマトの反対側……だとするとあちらか?」
俺は指をさした。何があるかわからないが、ちょうどこの山の左のほうだ
「次は何が見たいですか?」
「美しければなんでも良いな」
「美しい、ですか」
「あぁ」
「ムルト様の中の美しいってなんですか?」
「む?」
そう言えば考えたこともなかったな。
一番美しいと思えるものは月。
エルフの集落で見た世界樹と月。
ダゴンの場所でみた深海。
ヤマトで見た雲海と月。
そして今探している黄金の泉。
「そう、だな。キラキラと光っているもの、とか?」
「まるでドラゴンみたいですね」
「ははは、そうかもしれないな」
ドラゴンは光り物を好んで溜め込んでいるという。ドラゴンを倒せば、金銀財宝が手に入ると言われている。
「俺はドラゴンか」
「ムルト様は優しいですけどね。あっ!ムルト様!」
ハルカが振り向き、指を指す。
俺はハルカに呼ばれ、その光景を見る。
「ほぉ……なんと」
そこには、機械都市マキナがあった。
美しいのは、その光景。
真っ暗な闇の中に、幾つもの光が、星々のように輝いている。
鍛冶場や、料亭などの光だろうか、ポツポツと光っている。
「綺麗な夜景ですね」
「夜景、か」
「はい。夜景です」
「夜というものは、やはりいいな」
「月があるからですか?」
「それもそうだが。気づけなかったものに、気づける」
昼とは全く違った雰囲気を醸し出すマキナを見下ろし、そんなことを考える。
「少し、歩くか」
「はい」
マキナの夜景が見えるように、歩き出す。
左を向けはマキナが見える。木々の隙間から垣間見る光りも、これまた風情がある。
月の光と、夜道を照らす。
目の前に洞窟がある。
「ここは……」
記憶が正しければ、Eランクダンジョンだった気がする。
ゴブリンやコボルトが生息していると書いてあった気がする。
そんな洞窟の中から、1人の男が出てきた。
筋骨隆々、逞しいヒゲを生やし、身長は2mほど。さらけ出している上半身の筋肉が、この男がどれほどの力を持っているかを教えてくれる。腰には、槌やスコップ、肩には金床を担いでいる。
「すごい風貌だな」
「ですね」
その男の近くまで行き、ハルカが声をかけた。
「こんばんわ」
「ん?おぉ、こんばんわ」
「こんなところで何をしていたんですか?」
「鍛冶仕事をな、ほら」
男は担いでいる金床を見せる
「この洞窟でか?」
「あぁ。ここでやらなきゃ意味がねぇ」
「そうか」
「んじゃ、またな」
短い会話をし、俺たちはその場を後にした。
男はまだやることがあるということだ。
「すごい人でしたね」
「あぁ」
不思議な男のことを思い出しながら、俺たちは帰路へついた。
★
次の日、俺たちはまだ都市を出ず、昨日、男と出会ったダンジョンへと来ていた。
「なぜまたここに?」
「なぜだろうな」
俺自身わからなかった。だが、なぜかこの洞窟が気になってしまったのだ。
思い出すのは昨日の男。鍛冶師とのことだったが、あの体は実戦で鍛えたものだろう。そして、とてつもなく強い。そんな男がこのダンジョンに来て何かをしている。
このダンジョンはレベル上げがしやすいのではないのだろうか。そんなことを考えながら来たのだが。
「お?昨日の奴らじゃねぇか」
昨日会った男と、また会った。
「おはようございます」
ハルカは礼儀正しくお辞儀をした。
「あぁ。おはようさん。こんなところで何してるんだ?」
「少し、このダンジョンが気になってな」
「このダンジョンにはゴブリンとコボルト、それとはぐれ狼ぐらいしかいねぇぞ?」
「ふむ。そうか」
「どうやらレベル上げだとかゴーレム狩りじゃねぇな?あんたらは強そうだが……本当の目的は?」
「あるものを探していてな」
「探しものか?なにを?」
「黄金の泉を」
俺がそういうと、男は黙った 。
真面目な顔をしながら、俺に問い返してくる。
「なぜ黄金の泉を探す?」
答えを間違えれば今にも襲ってきそうな気迫がある。俺は正直に答えた。
「ただ見たい。それだけだ。俺の旅の目的は美しいものを探すこと。黄金の泉は、きっと美しいだろう」
「そうか……ついてきな。みせてやる」
男はそう言うと、ダンジョンの中へと入っていった。
少し進んだところで立ち止まる。入り口が微かに見える。
「これは?」
「壁噛みだ」
その壁には、牙と舌が生えている。
壁噛みというのは、壁に擬態したミミックのようなもの、迂闊に近づけば、食われてしまう
「ついてこい」
男はそう言い、壁噛みの口の中に入っていく。その瞬間、壁噛みが口を閉じ、咀嚼をする。口を開けた時、すでに男はいなかった。
「ムルト様……」
「血痕がないな。死んだわけではないようだ」
俺は壁噛みに近づき、じっと見つめる。
「ムルト様!」
「ついてこいって言ったのだ。信じようじゃないか」
俺は壁噛みの口の中へと入る。音がしたと思えば、中には通路があった。
目の前からは、光が見える。俺はその光へ向かって歩き出す。
光が近づき、俺はとうとう、通路の先へと出た。
「これは……」
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