骸骨の苦労

食事を終え、俺たちは鍛冶区画へと来ていた。ハルカが使う武器を作ってもらう。というのが、機械都市にきた目的の1つだ。

ハルカと話し合って決めたのだが、ハルカは杖よりも、メイスの方が性に合う。

下級魔法を使えばそれの二段階上、最上級魔法になってしまうし、上級魔法を使えばその二段階上になる。

MP消費は多いが、今のハルカなら下級魔法(最上級魔法)を5発ほど打てる。それだけの高威力の魔法を使えるならば、前衛メインの戦い方でも良いと。


ハルカには自動操縦オートパイロットがある。MP消費無しのパッシブスキルらしい。切り替えが可能で、鍛錬を積む時はオフにしている。

ならば、自動操縦を活かせる武器を使った方が良いのではないか、ということで、メイスを作ってもらうことにしたのだ。


素材はレヴィアの爪と鱗、これがあれば相当強いものが作れるのではないのだろうか


そんなことを考えながら、2人で鍛冶屋を回っていたのだが……


「ん〜こりゃ、俺んとこじゃ難しそうだな。加工できそうな奴を紹介してやるから、そいつんとこ行ってくんねぇか?」


「あ、あぁ」


「ちなみに……俺で何人目だ?」


「断られたのは8人目だ。追い出されたのが3人いる」


「そうか……俺の名前を出してくれりゃ、追い出しはしねぇだろ。俺の名前は……」


俺たちはかれこれ12軒目の鍛冶屋を回っていた。

12軒ともたくましいヒゲを蓄えたドワーフ達だったが、レヴィアの爪と鱗を加工できる者はいなかった。

希少な白銀龍の爪と鱗。加工の方法も、技術も、今まで回ってきた店のドワーフ達には無いと言われ、たらい回しにあっている。


そして、13軒目に行く途中


「次も断られたら、今日はここまでにしよう」


「はい」


「すまないな、ハルカ」


「いえいえ!私はこの杖でも十分戦えますから!大丈夫ですよ!」


「ふむ。悪いな」


13軒目の鍛冶屋の前につく。レンガ作りの工房は、他の鍛冶屋と似ているが、ここからは鉄を叩く音がしない。

扉を開け、ノッカーを叩く


「主人はいるか?」


「あいよー。ちょっと待っててくれ」


のしのしと奥から出てきたのは、赤みを帯びた肌をしているドワーフ。ここまで会ってきたドワーフとは違い、ヒゲを剃っている。

若いというわけではなく、歳は結構とっていそうだ


「あんたら噂になってんぜー。白銀龍の爪と鱗だって?出してみな」


「あぁ」


俺はハルカのアイテムボックスからレヴィアの爪と鱗を取り出す。

レヴィアが半龍化して取り出したものなので、大きい。爪は俺2人分の大きさをしており、鱗は仮面に加工して小さくなっているが、それでも俺の頭蓋骨2つ分ほどの大きさだ


「鱗はなんとか加工できるが、爪は難しいな」


「ふむ。そうか……」


「普通なら、だがな。特殊な素材があれば、加工できねぇこともねぇんだ」


「特殊な素材?」


「あぁ。オリハルコンか、アダンマイトでできた道具がありゃ、加工ができるはずだ」


「それをとってくれば?」


「だが、ここいらの鉱山じゃ、出てきたという話を聞いたことがねぇ。だが、その道具を持ったドワーフを知ってるぜ。神匠フッドン

今はどこにいるかわからねぇが、遠くへは行ってないと思う」


「いつ戻るかわかるか?」


「わからねぇや。この街を回っても、フッドン以外にそれを加工できるやつはいねぇだろう。諦めな」


「そうか、フッドンか……」


「探すだけ無駄だぜ?酔いどれじじいだ。どこにいるかも、どこに行っているかもわからねぇ。俺のとこに来るまでいろんなとこ回ってきたんだろ?好きな武器半額にしてやるからよ、落ち込むなって」


そのドワーフは優しく、好きな武器を半額にしてくれると言ってくれた。

俺たちはとりあえず、ミスリルでできたメイスを買った。魔力伝導率が高く、エンチャントがうまくいきやすい。


俺たちは店主に礼を言い、宿に帰った。


「ムルト様、ありがとうございます」


「気にするな。とりあえず、明日は依頼を受けよう」


「はい!武器を馴染ませないといけませんからね!」


「あとは黄金の泉の話を聞いて回りたいな」


「話はあっても、行ったことのある人の話は聞きませんね?」


「それも加えて調べよう」


昼間食べたところで晩飯を食べようと思ったのだが、あいにくの完売ということで、また明日来ることにし、今日は宿の近くの店で食べることにした。


これからの予定だが、明日は依頼をこなす。

明後日は冒険者ランク昇格試験。

それらと並行して黄金の泉の話と、フッドンの話を集めたいと思う。

次の目的地も決まっていないので、黄金の泉を諦めるまではこの街に滞在することになるだろう。


今日も月を見上げていた。

宿の窓から見える月は、機械都市の真上を浮かんでいた。高い建物が多く、月はその建物の隙間から、恥ずかしそうに顔を見せている。

手を伸ばせば、すぐ届きそうに思えるほどに近く感じる。


(アルテミス様に、また会いたいな)


そう、俺は思った。しばらくしてから、ハルカが寝るというので、俺も自分のベッドの中に入った。


そして俺は、眠りについた。




★★★★★

名前:ハルカ

種族:魔人族


レベル:48/100

HP5400/5400

MP4760/4760(+480)


固有スキル

鑑定眼

氷獄の姫アイス・プリンセス

魔力操作

アイテムボックス

自動操縦オートパイロット

美食の徳(暴食・堅固)



スキル

杖術Lv5

経験値UPLv10

火魔法Lv3

聖天魔法Lv1

氷雪魔法Lv1

暗黒魔法Lv1

打撃耐性Lv2

状態異常耐性Lv3

遊泳Lv5

潜水Lv3

突進Lv2 new

邪眼Lv1 new


称号

転生者、転生神の加護、忌子、勇者の卵

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