骸骨は旅立つ

今日も、月を見上げる


(美しい……)


いつ見ても変わらない月の美しさに、ふと安堵する


(それにしても、昨日は有意義だった)


2人の人間が、冒険者というらしいが、ダンとシシリーがこのダンジョンへ来た。

最初は、警戒をしていたようだが、話してみると意外と打ち解けることができた。のだろう。


そしてその夜、猪を倒して進化し、体の変化を感じることができた。

まずはこの眼、どうやら相手の簡単な情報ステータスを見ることができるらしい


種族:ラット

ランク:G

レベル:1/5

HP:5/5

MP:1/1

固有スキル

夜目


種族:スケルトン

ランク:G

レベル:1/5

HP:5/5

MP:1/1

固有スキル

夜目


種族:ゴブリン

ランク:F

レベル:2/5

HP:10/10

MP:1/1

固有スキル

夜目


ダンジョン内はこんなものがほとんどだった。

今までは避けていたゴブリン達だが、5対1でも十分に余裕を持って勝つことができるようになった

この剣、そして、このさらに硬くなった体のおかげだろう。


俺は月に剣を照らしながら、剣の情報も見る


名前:月光剣・ナイトブルー

月の女神に認められた者のみが使える剣

魔力が通りやすい


名前:ボロボロの鉄の剣

鉄でできたボロボロの剣


名前:木の棍棒

木でできた棍棒


名前:木の盾

木でできた盾


俺はその説明を見て剣を鞘に戻し、月の光が差している広間の中心へ行き、座り、剣を置く。


(やはり、月が俺にくれたものなのだな。ありがたい)


俺は近くの水溜りで、水に映る自分を見た



名前:

種族:月ノ骸骨ルナ・スケルトン

ランク:E

レベル:4/20

HP70/70

MP15/15


固有スキル

月ノ眼

堅骨


スキル

剣術Lv2


称号

月を見る魔物、月の女神の寵愛



(月がいっぱいだ。月に愛されているのか?嬉しい限りだ)


俺は笑えない顔で、カタカタと音を出す


「おい!スケルトン!青いスケルトンはいるか!」


ダンジョンの中に声が木霊した。

俺は先ほど置いた月光剣を手に取り、立ち上がる。走っているのか、足音はだんだんとこちらへ近づいてくる。


「やっぱり!ここにいたか!」


声の主は、ダンだった。


「おぉ。朝ぶりだな。大声をあげてどうした?」


「それが……」


ダンは街に戻ってから、何が起こったかを教えてくれた


「討伐隊……か」


「あぁ!明日の朝にここへ来ると言っていた!今日のうちにここを出れば助かるかもしれないんだ!」


「だが、私のこの見た目ではどこへ行っても同じではないのか?」


「そうなると思ってな……」


ダンはリュックから1枚の外套を出した。


「ほら、これで身体を隠すことができる。目深にかぶるんだ」


俺はダンに外套を着させられ、小袋を手渡された


「この中に、銀貨50枚が入ってる。使ってくれ。街に入らなくても、道の途中で露店を開いているやつらから食い物かなんか買えるだろう」


「だが、私は食事も睡眠も不要だぞ」


「ん、そ、そういえばそうだな。ははは」


ダンは笑いながら真剣な顔をして言った


「正直、これは俺の自己満足でしかない。ここで出会ったお前、話してわかったお前、そしてパワフルボアから守ってくれたお前が、モンスターながら気に入った。だからお前には生きて欲しい。俺には、お前が人間に害を与えるような存在だとは思えないんだ。だから、生きてくれ。お前らモンスターを殺して稼いでる冒険者の俺が言うのも変なんだけどな。ハハハ」


ダンは笑いながら話す。


「それじゃ!俺は怪しまれる前に街に戻る!またな!どこかで会おう!」


ダンはそのまま走っていってしまった


(逃げろ……か)


俺はフードを顔が隠れるように被り、小袋を肋骨の中に入れて歩き出す。


初めて見る、外の世界。


ダンジョンの中とは違い、明るく、広かった。

変わらないのは、それらを照らす月の輝きだけ。


「美しい……」


あてもなく歩き出す。外の世界を見るために。

金色に光る泉、真っ白な洞窟、雪山にそびえる氷の城。

月にも負けない景色を見るために、この美しい世界を見て回るのだ。


「俺の種族は、月ノ骸骨ルナ・スケルトン目的地は……まだない」

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